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王子さま(寛訳20) ("Le Petit Prince")
二十

しかし王子さまは、砂、岩そして雪の中を長い間歩き、ようやく道を見つけた。そして道はどれも人の家に繋がっているのだった。

「こんにちは」、彼は言った。

それは薔薇で満たされた庭だった。

「こんにちは」、薔薇たちは言った。

王子さまは薔薇たちを見た。薔薇たちはみんな彼の花に似ていた。

「あなたたちは誰?」彼は驚いて尋ねた。

「私たちは薔薇です」、薔薇たちは言った。

「ああ!」、王子さまは言った・・・。

そして彼はとても悲しく感じた。彼の花は、世界中で自分の種は自分だけだと彼に言っていたのだった。しかしここには似たような花が、たった一つの庭の中に、五千だって咲いているではないか!

「傷つくだろうな」、彼は思った、「もしあの花がこれを見たら・・・きっと馬鹿らしいと思われないようにすごく咳き込んで死んだふりをするだろうな。そして僕はきっと介抱のふりをするのも忘れちゃうんだ、だってそうしないと僕も素直になれないから、そうすると花は本当に死んじゃうかな・・・」

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そして彼はまた思った、「僕はたった一輪の特別な花を持っていて幸せだと思い込んでいたけど、でも僕はありふれたひとつの薔薇を持っていただけなんだ。それと僕の膝までしかない三つの火山、そのうちの一つはたぶんずっと消えたままの火山、そんなのじゃ僕は立派な王子さまでもなんでもないや・・・」。そして、草原の中に突っ伏して、彼は泣いた。





~続く~


王子さま、たくさんの薔薇に遭遇して愕然とする。僕の星の花はありふれた薔薇に過ぎなかったのか?

一輪の薔薇と三つの火山しかないから立派な王子さまでもなんでもない、と泣き出すのはどういったわけなんだろう。所有物を根拠にしたこの反応は意外な感じがしたけれども。

ちなみに王子さまの星にある一輪の花が薔薇らしいと判明するのはこの章が初めて。それも未だ薔薇と断定できるわけではない。このあたり、日本語訳だけバラバラ読んでいると薔薇だと思い込んでしまいがちなので注意が必要。

写真は先日ホストファミリーと天体観測に行ったときの写真。すばらしい星空だった。



・・・んだけど、「この写真、黒い紙に白い点々が着いてるわけじゃないの?」という声を受け、決してそうではないのだけど大学院修士過程での日々を思い出した。実験室にこもり、風洞の中に塩水を飛散させ、コンクリートへの付着・吸収過程を観察する日々。「感水紙」という特殊な紙を用いて飛散する塩水の大きさを調べていたのだったよ。ああ懐かしい。大変だったけど充実した日々だったなあ。


感水紙。
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感水紙映像をモノクロ処理したもの。
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星空。
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違うんです。
by kan-net | 2013-08-11 01:46 | 練習
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