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王子さま(寛訳12)
十二

次の星には酒飲みが住んでいた。とても短い訪問だったが、王子さまをひどく憂鬱な気分にさせるものだった。

「なにをしているの?」、彼は酒飲みに言った。酒飲みは一通りの空のボトルと一通りの満タンのボトルの前に静かに座っていた。

「飲んでいるのさ」、酒飲みは悲痛な面持ちで応えた。

「どうして飲んでいるの?」、王子さまは彼に尋ねた。

「忘れるためさ」、酒飲みは応えた。

「何を忘れるために?」、王子さまはもう彼を哀れに思いながら尋ねた。

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「恥を忘れるためさ」、酒飲みは頭を下げながら告白した。

「何の恥?」、王子さまは彼を救いたくて尋ねた。

「飲んでいることの恥さ!」、酒飲みは言い切って完全に黙りこくってしまった。

そして王子さまは困惑しながら旅路を進めた。

「大人たちって本当に本当に変だよ」、王子さまは旅を続けながらずっとそう思っていた。




~続く~


酒飲みの星。

この星にどういう意味を込められているのか、ちょっとハッキリとはわからない。酒を飲み過ぎてはならないということではなかろう。何かしたいと思いながらも自分をごまかして結局何もせずに生きている大人像、みたいなやつだろうか。はて。

今回の話は短かったので火曜日くらいにすぐに読めたけど、なかなか書く時間がなくてこんなタイミング。平日の夜にもちょっとずつまた訳したいなあ。休日だけだと物語の進行が遅すぎる。

写真はうちのウィスティティ。セドリックがパリ旅行で不在にしているのが寂しくてたまらないらしく、しょっちゅう僕の部屋に来る。かわいいし来てもらっていいんだけど、寂しそうな声で鳴かれても僕はセドリックにはなれないので困ってしまう。そんな時はとりあえず膝に乗せてあげる。
by kan-net | 2013-06-01 00:57 | 練習
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