一つの講義で読書感想文なる課題が出ており、
指定された20冊の中から4冊を選んで読んで1000字程度の感想を書けばよかったのだが、 例に違わず直前の2日で3冊分を仕上げる暴挙を達成した。 その3冊とは塩野七生の「ローマ人の物語」1~3巻。 これが読んでみると面白かった。 僕は普段ほとんど本を読まない人なのだが、すらすらと読み進められた。 時間がなくてかなり飛ばし読みしかしていないのが残念。これから改めて読み直したい。 ところで久々に読書感想文というものを書いてみて、非常に懐かしい感覚に襲われつつ 本の一部だけを読んで感想を書ききるスキルを身につけた自分に成長と虚しさを感じた。 いつからこんな子になっちゃったんでしょうね。もう。 時間がある人はぜひ読んでみたら良いのではないかということで、 以下に第1巻の感想文をコピペしておく。 僕などの感想文が読書欲をそそるのかという疑問も沸くが…まぁ、よかろ。 ================ ローマ人の物語(1) ローマは一日にして成らず〔上〕 建国の王ロムルスから最後の王タルクィニウスまで、七代にわたった王政が描かれていたわけだが、それぞれの王の手腕がたいへん見事であると思った。特に初期二代の王、ロムルスとヌマの統治に注目した。 建国の王ロムルスが整えたシンプルな統治システムは継続的/長期的な統治というものを見据えたものであるという印象を強く受ける。王と元老院と市民集会の三本柱、特に元老院という集団に公的な地位を与えて王個人の気分に左右されないよう制御しており、すでにロムルスは独占的に権力を誇るだけの実力を持っていたであろうにこうした権力暴走の制御システムを構築したことは、ロムルスが自戒的でありまた長期的な展望を持つ人物であったことを推測させる。選挙を経ない有力者たちの集団という性質を与えたことによって後々の争いの火種になり続け、実際にロムルス自身も元老院議員に殺害されたこともあって、この機関の設置が果たして適切であったか否かということは判断に渋るところであるが、目覚しく成長したローマにおける強大な力を持つ一機関であったという事実は批判を鎮めるだけの説得力を持つ。 初代の王ロムルスが勢いによってローマを発展させ、二代目の王ヌマがその発展を確かな力へと整理する役割を果たしたわけだが、この初代と二代目についてのよくある役割関係がローマでは非常に上手く効果を持っていたようである。ヌマがローマの外から召喚された人物であったこともその成功の理由であろう。戦いに明け暮れた他の王と違い、ヤヌス神殿の出入り口を閉ざして内政に積極的に取り組み、法律や宗教という本源的な部分を改革したヌマは、ローマの体力をつける上で最も大きな意味を持つ王だったのではないかという印象を受ける。 この七代にわたる王政の時代を俯瞰して、ローマ大成の理由のひとつとして他に対するオープンな姿勢が挙げられるのではないかと感じた。異なる部族から新たな王を迎えたり戦敗者をローマに住まわせて有力者は元老院にも入れたり、技術者を招き入れたりということが自然になされ、そうした行為がほとんどの場合プラスに働いたようである。特に王を迎え入れるというのが衝撃的であったが、よく考えるとこのような姿勢は現代の企業によく見られるものと同様である。では果たして現代の企業がローマと同じように目覚しい成功を収めているかというと、なかなか難しいようである。ローマほどの成功はその時代のその環境でしか達成できないような代物であったように感じられる。しかし現代で大きな成功を収めている事例と比較してみると面白いのではないかと思った。
by kan-net
| 2005-11-18 14:45
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