就活放浪ロンドンの記録
2015年6月18日(木)~24日(水)に滞在したイギリス、ロンドンの記録。

ここについては多くを語る必要はないだろう。僕自身にとっても昨秋に1泊2日ながら観光したことのある都市だったので、目新しいというわけではなかった。しかしスタバンゲルの滞在に続いてロンドンへ来ると、その規模の違いには少々困惑させられた。人口は800万人超で、この都市だけでノルウェー全体を上回る(そう言いだしたら東京だって大阪だってノルウェー全体を上回るわけだが)。6月20日に緊縮財政に反対するデモ集会が開かれていて、その参加人数25万人。スタバンゲル都市圏の人口15万人をデモ隊だけで上回っちゃうんだから。

ここロンドンでは欧州へ調査に来ていたサークルの友人と合流して彼の友人と共に飲みに行ったり、サークルの同窓会が東京で開催されたのに合わせてロンドンでOBOGを4人集めてSkype中継で遠隔参加を果たしたりした。さらには高校同級生の姉妹さんと一緒に食事をしたりと、とても賑やかな滞在になった。さすがロンドンは日本人がいるなあという感じ。

就活の面では興味を持っている会社で働いておられる方にツテを辿って連絡し、お話をさせていただいた。求人案内のところには記載されていないけれどもそもそも各求人には非EU出身者を対象とするか否かというのが予め決められているらしく、それで弾かれている可能性が高いということを初めて知った(つまり日本人というだけでアウト)。またその会社のインド支社のポストに応募しようかという考えを話したところ「確かに途上国の仕事はイギリス本社からは少ないが、海外の支社のクオリティは保証できない、全社的なガバナンスが強いとは言えない」という話。「クオリティにこだわる上では日本の会社の方が良いのでは」とも。あとはワーキングホリデーのビザを使ってロンドンにて働いている人がいるという話や、狭い業界ではあるがリクルーティングサービスの利用は有効であろうという助言など。印象的だったのは「(自分が入った)10年前からは状況が大きく変わっていて今は非EU出身者の就職は非常に難しい、どうしたら力になれるか…」と繰り返されていたこと。なかなか厳しいという様子。

それでもお話をさせていただいた後、僕のCVを社内でいろいろな方に回してくださったらしく、なかでも日本事務所の代表の方は強い興味を示してくださったのこと。なかなかそれ以上のところへ進まないのだけれど、人にお会いさせていただいて話をして良かったと感じる部分ではある。

ロンドンには他にも興味深い会社が幾つかあるのだけどツテがなく、とりあえず今回は連絡を取れないまま終了。

以下、写真。

ロンドンの街中
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それっぽい。


6・20デモ
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このデモの影響で道路は大渋滞、地下鉄もいくつか止まっていて大変だった。それにしてもデモで声を張り上げる人たちは子供からお年寄りまで幅広く、偏ったアブナイ人たちという感じは凡そせずしかし懸命で、こういった政治活動はなかなか日本では見られないのではないか。


6・20サークル同窓会へのスカイプ参加
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ロンドンで在英日本大使館に勤める友人とその長男、ウィーンで国際機関に勤める友人、ボストンでハーバード留学中だが調査のため欧州渡航中の友人と、ぷー。


ロンドンタワーブリッジが上がった
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なかなか頻繁には見られない光景なのだそうだ。


フィッシュ&チップス
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アラブ人のおじさんがやっている小さなレストランにて。チップスがそれは酷かった。友人はその夜から腹を壊した。


ところ変わって大英図書館
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モダンだ。老若男女、熱心に勉強していた。この空間は入口からずっと開けた造りになっていて誰でも使える。登録した人はもっと静かで広々とした閲覧室みたいなところに行けるようだ。


クイーンメアリーガーデンとそこんちのリス
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バラが咲き誇って賑やかな英国庭園。ベンチに座ってのんびり。リスはけっこうデカかったし、近寄っても逃げなくて、なんか偉そうだった。


夜行バスでオランダへ
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写真はドーバー海峡をヨーロッパ大陸へ渡るのを待っているところ。しかしこのバス旅、3人組の若い男たちがビールを箱で持ち込んで明け方まで騒ぎ続け、やっと寝るかと思ったら隣の席に来てひどい寝相。アムステルダムまで12時間くらいの旅路で1時間くらいしか眠れなかったと思う。
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# by kan-net | 2015-07-08 07:23 |
就活放浪スタバンゲルの記録
2015年6月12日(金)~18日(木)に滞在したノルウェー、スタバンゲルの記録。

ノルウェー第三の都市スタバンゲル。第三と言っても人口は11万人、都市圏を含めても15万人くらい。ノルウェー全体の面積が日本と同程度の38万平方キロ、人口が日本の20分の1以下の約500万人なので、かなりのっぺりと広がって住んでいるんだなという印象(日本が過密すぎるのは勿論ながら)。ちなみに首都のオスロの人口が60万人、オスロ都市圏が85万人。

昔は漁村だったところ、北海油田に関するビジネスが発達して最近はもっぱらオイル産業で栄えているらしい。その影響で外国人も多いとのこと。一軒家がほとんどで、たまにあるマンションもハイセンス。白で統一された町並み、澄んだ空気。車も少なく「のどか」という言葉がぴったりくる町だった。ただし物価は非常に高くて困惑した。食事はほとんどスーパーで買ったパンやサラダに終始。あとユースホステルが何故か二人部屋で、初日は独り占めできて最高だったけど二日目からいろいろ人が来て気づまりだった。そんなら四人部屋の方が良いわい。

フィヨルド観光の拠点としても有名で、せっかく来たのだからクルーズに行ってきた。もの凄く寒かったけど、快晴の青空のもとで自然の造形を鑑賞してきた。圧巻だった。あまりに規模が大きくて縮尺の感覚がわからなかった。

就活的には友人のご主人のご友人の方を訪ねた。デンマークのコンサルティング会社のスタバンゲル支店に勤める方で、会社を訪問させてくださって同僚の方ともお話をさせていただけた。あいにくこのオフィスでは交通計画の専門家を必要としていないとのことだったが僕に対しては興味を持ってくださり、オスロオフィスやコペンハーゲンオフィスへ僕の話をしてくれるということになった。この時、「持続可能な開発」というキーワードに関して学んだことがあるというのは少なくとも北欧では高く評価されるようであることを知った。その他、他社も含めて国際的な交通計画の仕事をしている会社を幾つか紹介してくださったり、応募の際には事前に電話をしてアピールし、質問もしてその内容をカバーレターに反映させるのが良いというアドバイスなどもいただいた。

友人のご主人のご友人の方はそのほかにも街を案内してくださったほか、手違いで宿無しになってしまった僕の滞在最終夜には食事を振る舞って宿泊させてくださったりと、非常に非常にお世話になった。必ずお返ししなければならないご恩ができた。

以下、写真。

丘の上からスタバンゲル中心部を望む
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高いビルは少なく、白壁に赤褐色の屋根という家が多く並ぶ。向こうには海。


中心部から少し離れた普通の道での景色
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ずっと住んでいたら面白味も感じなくなるのだろうけど、この景色はそのままで好きだった。


旧市街地
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18~19世紀の家々。


図書館(市民会館)
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市民会館みたいなところが図書館になっていて、子供は遊ぶ、大人も話す、飲食も可。勉強机もコンセントとセットで用意されていてWifiも当然あるのだけど、「図書館では静かに」なんて概念は全くなくて、とにかくオープンな空間に市民が集えるようにされている。


図書館の前の広場
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観光客もいるし市民もいる。地元の中学生ブラスバンドみたいなのが演奏会をやっていて微笑ましい。


一度だけカフェで食事をした
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どうにも時間のマネジメントが上手くいかず、やむなく外食した。このパン2つで104クローネ(約1600円)。


春のセーター売り出し
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最高気温16度、最低気温7度とかだったので、6月だというのに広場ではセーター等の防寒具がたくさん売られていた。観光客が買うのでしょう。


フィヨルドクルーズ
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とても寒かったけどとても良い眺めだった。


リーセフィヨルド
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この二つ目の写真の中央、四角形に飛び出たところが名所で、25m×25mの綺麗な正方形になっている。海面からの高さは約600m。トレッキングツアーに参加するとあそこに立つことができる。目がくらみそうであるが、くらんでフラついてはならない。


再度スタバンゲル市内、青空
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曇りや雨の日が多いらしいのだけど、僕が滞在した一週間はけっこう晴れてくれて、澄んだ空気と青空が気持ち良かった。
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# by kan-net | 2015-07-08 01:10 |
就活放浪ミラノの記録
2015年6月8日(月)~12日(金)に滞在したイタリア、ミラノの記録。

北イタリアの商業・工業・金融の中心都市。町も広く、古い歴史を感じさせるエリアから観光客が溢れかえる繁華街、新しくデザインされ建設真っ最中のエリアまでいろいろあった。泊まったユースホステルは中央駅の近くだったのだけど、移民が多く住んでいるエリアだったらしいのも印象的。バングラデシュ関係の看板が結構目に入った。少し不思議で不便だったのが、スーパーマーケットのようなものがほとんど見当たらなかったこと。店の名前を知らなくて目に入らなかっただけかもしれないけど、とにかく探すのに苦労した。ちっちゃいことですが。

友人に勧められ、郊外を北東へ電車で1時間のベルガモという町にも行った。中世の街並みを残した小ぢんまりとした町で観光客もたくさんいたけれど、丘の上からさらにケーブルカーで上ったお城の庭にはその時ちょうどあまり人がいなくて、とても眺めがよく、しばらく腰を下ろしてボンヤリとしていた。いつかこんな景色のところに住んでみたい気がした。

就活的には、パリの友人から紹介してもらったJRの方とお食事をご一緒させていただき、アドバイスをいただいた。CVの顔写真は(入れるのなら)笑顔が良い、もっと具体的に実績ハイライトを掲載した資料を別途用意してはどうか(ランドスケープアーキテクチャにとってのポートフォリオから着想)、アムステルダムとコペンハーゲンに信頼できる友人がいるので紹介できる、などなど。実績ハイライトの資料は他の方にも作ってはどうかと言われていたことで、その後作成した。アムステルダムのご友人も紹介いただくことができた。

あとはUITPの展示会場でいくつかの会社を訪問したが、話したいと思っていた会社の人からは愛想悪くあしらわれてしまって収穫なし。イタリアのコンサル会社の人からそう言えば名刺をもらったが事業実施地域がけっこう限定されている印象、だけどもう一度連絡してみようか、今さらだけど。

以下、写真。

観光名所ドゥオモの近辺、旧市街の様子
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このあたりはけっこう古い建物もたくさんありそうで、でも観光エリアだけにトレンディな小売店なんかも多く入っていた。もっと本当に古いんだろうなっていう地区も西のほうにあった。


観光名所ドゥオモ
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観光客でとても賑わったエリア。見学料が2ユーロなので良かったけど、ちょうどイベントの準備中か何かで内部正面とかがあまり見えなかったのが残念だった。


自転車・電気自転車シェアリングステーション
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試してみれば良かった。同じステーションで普通自転車と電気自転車の両方を取り扱うのは世界で最初の例らしい。(Cities Today: Milan adds 1,000 e-bikes to bike share system


UITP-Milanの展示会場
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このイベントに行って人に会うのがミラノ訪問の目的だった。公共交通の事業者が集まっている会議で、日本からJRやその他事業者も参加していた。


ミラノ万博
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テーマは「食」。万博に行ったのは今回が初めてだったのだけど、通常の一日チケットが34ユーロ、夜間のみのナイトチケットが5ユーロということで、貧乏放浪者の僕はナイトチケットで入った。そしたら日本館の展示場とかは既に閉まっていた。悲しかった。


宿の近くで食べたマルゲリータ
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食をテーマとした万博では大した美食はできなかったけど、滞在したホステルから歩ける距離にあったピザ屋さんでは大変美味しいピザを食べられて良かった。マルゲリータしか置いてないの。本場な感じがした。


ところで台湾みたいな建物
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ミラノ中央駅の正面の通りを真っ直ぐに歩いていたらこういう区間がけっこう続いた。別にこういう造りがどこ発祥かは知らないのだけど、台湾で先に見たので、台湾みたいだなーと思った。


ところでミラノ郊外のベルガモ
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丘の上が中世(13~16世紀)の町、下が新しい町、だけど新しいと言っても19世紀とからしい。


ベルガモの丘の上のお城の庭から
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この芝生のところに行きたかったけど行けなかった。ちょっとラピュタみたいな眺め。


ベルガモの丘からの坂道
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こういう通りを歩くのは好きだ。


ベルガモの広場にいたパフォーマー
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「美しいポーズ」でお金を稼ぐパフォーマー。こういうのは初めて見たし、実際に美しいと思ったので少しお金を入れた。お金を入れるとゼンマイ仕掛けのような感じで目をパチクリしながらお辞儀とかをされて、これはとても美しくなくて、残念だった。
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# by kan-net | 2015-07-08 00:03 |
voyageur / 旅人 / traveler
Ça fait deux mois depuis mon deuxième arrivée en France. Malgré mon espoir initial, ma recherche d'emploi n'avance pas bien, et je me sens dans une impasse. Or, du fait que je cherche plutôt en Europe entier qu'uniquement en France, je suis arrivé à une idée de quitter le studio où j'habite actuellement, soitir de la France avec le minimum d'affaires essentiels et aller rencontrer des personnes des sociétés qui m'intéressent beaucoup m'en déplacant d'une ville à l'autre jusqu'à ce que je trouve une opportunité ou qu'il ne me soit plus possible. Et donc je vais le faire.
フランスへの二度目の到着から2か月が経過。当初の期待に反して就職活動は上手く進んでおらず、袋小路に入り込んだ感がある。ただ考えてもみればフランスだけでなくヨーロッパ全体で仕事を探しているわけだから、今住んでいるワンルームを出て、必要最小限の荷物だけを持ってフランスを出て、良い機会に巡り会うか続行不可能になるまで興味を持った会社の人に会いに街から街へと放浪しながら暮らしていけばいいじゃんと思うに至った。そうすることにした。
Two months have passed after my second arrival in France. In spite of my initial expectation, my job hunting doesn't go well, and I feel trapped in a dead end. But, as I look for a job rather in all Europe than just in France, I came to think of getting out of my actual studio flat, leaving France with minimum essential items and going to meet persons of the companies that seem interesting for me moving from one city to another until when I find an opportunity or when it will be impossible to continue it. So I'll do it.

Du 8 au 11 juin, je vais rester à Milan comme il y aura un événement sur le transport en commun (et l'EXPO). Après, je ne sais pas, je n'ai pas réservé aucun logement dès le 11 juin en effet. J'irais peut-être aux pays nordiques parce qu'il y a un expert japonais que je pourrais rencontrer. Sinon je pense de l'Angleterre, du Danemark et des Pays-bas pour le moment, mais je ne sais vraiment pas.
そんなわけでまず6月8~11日は公共交通のイベント(と万博)があるのでミラノへ行く。それから先のことは未定。11日以降は宿も予約していない。日本人の技術者の方と会える可能性があるので北欧に行くことになるかもしれない。もしくはイギリス、デンマーク、オランダあたりを今のところ考えたりもしてるけど、本当にどこでどうしていくかは未定。
From June 8th to 11th, I'll be in Milan because there will be an event on public transport (and the EXPO). After that, I don't know, I haven't reserved any accommodation from 11th. I might go to Northern Europe as there is an Japanese expert with whom I could hopefully meet. Otherwise I think of United Kingdom, Denmark and Netherlands at the moment, but I don't know really.

Mais bon, ça va aller. Au moins ça ve me permettre de continuer à bouger, puis je vais profiter de ma vie comme un voyageur, et ça me donnera sûrement des choses. Bref, dans environ 10 jours, je vais voyager.
まあ、どうにかなるでしょう。少なくともこうすることで自分を動かし続けることができるし、旅人として人生を満喫することができるし、それは何らかの糧になる。ということで、10日後くらいから、旅に出ます。
Well, it will be alright. At least it will allow me to continue to be active, I will enjoy my life as a traveler, and it will certainly give me something. In short, after more or less 10 days, I will start my travel.



Annexe / おまけ / Annex

Tour Eiffel d'hier / 昨日のエッフェル塔 / Yesterday’s Eiffel Tower
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Plateau de fromages à la maison / 自宅でチーズ盛り合わせる / Cheese plate at home
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# by kan-net | 2015-05-29 10:21 | あいさつ
読書録:福田昌史「0.3秒60点の世界」
日本で大学院生だった時(思えば8年前とかである)、研究室ミーティングというのが毎週あった。この時に先生が突然思いついたようにいろんな話を延々と繰り出すことがあり、けっこうその時間が好きだったのだが、これはその中で紹介された本。大学の講義にも来てくださっていた国土交通省出身の方の講義録を基に書かれたもので、先生がどのように紹介されていたのかは覚えていないが、この本のタイトルだけはやけに印象に残っていて、就職したある時、いよいよ購入した。だのにその直後に出張へ出るため友人に貸してしまい、以来そのままになっていた。最近になって思い出して、今回の帰国時に友人から返してもらって、フランスに持ってきて先日ようやく読んだのだった。5年越しとかである。長い。(この説明も長い。)


0.3秒60点の世界「幸せ多い国づくりへの実践」 福田昌史、社団法人全日本建設技術協会、2008年

0.3秒60点の世界



それだけ長く寝かせた後で読んでみてわかったのだけど、僕はまずこのタイトルの意味を誤解していた。「即座(0.3秒)に概ね(60点)の回答をすべし」というのはあっていたのだけど、てっきりこれは通常業務についての話だろうと思っていた。思えば会社員になってこの本を買おうと思ったのも、自分がいつも与えられたミッションについて最初からじっくり腰を据えすぎで瞬発力がないなあと思ったからだった。即座に概ねの画を描いて、それから細部の詰めや積み上げをすべし、そういうメッセージなのだろうと思っていた。

違った。この本で紹介されている「0.3秒60点」は、担当が違うからと言ってたらい回しにする「お役所仕事」をしてはいけない、自分の担当以外の内容でも即座に概ねの回答をしよう、という内容だった。本ではこの背景として、毎週のようにどこかで災害が発生して問い合わせが殺到した年だったという状況が描かれているけど、本のタイトルにもなっているこのメッセージは非常事態でなくても共通するものと思われる。

つまり大きく違っていたのは「誰の仕事か」という部分で、僕の思い込みでは自分の仕事しか考えていなかったが、本で書かれているのは自分の担当以外の内容についてで、そこで0.3秒で60点を出せという話だった。かなり、レベルが違った。

「60点くらいはすぐに出せるが残りの40点は次第に簡単には上がらなくなる」みたいな話(※)と混同していたのかもしれない。いずれにせよ自分の範囲で60点回答を即座に出せることは当然であるべきなのだろう、ずいぶん考えが甘かったものだなと反省した。書いてあることは尤もだと思ったので、これからはちゃんとこのタイトルの本来の意図範囲に意識を広げて、そこで即座に60点を取れるよう心がけていくことにしたいと思う。
(※このあたり、フランス企業でのインターン経験を通して、「クオリティ」と「時間」に関する日本とフランスでの考え方の違いみたいなものは少し感じたので、いずれ書きたいと思う。)

なお実は本のうち「0.3秒60点」に関する記述はごくごく一部に限られていて、他の要素がたくさん込められていた。以下、目に留まった箇所の抜粋。

およそ百年前の明治34年(1901年)1月2日及び3日付けの報知新聞に「二十世紀の預言」という記事が掲載されています。予測の前提は定かではありませんが、その多くは今日、現実のものとなっています。例えば、『無線電信及電話…マルコニー氏発明の無線電信は一層進歩して只に電信のみならず無線電話は世界諸国に連絡して東京に在るものが倫敦、紐育にある友人と自由に對話することを得べし』という予測がされており、現代では国際電話、さらには携帯電話の普及により、世界中の人々と対話することができるようになっています。(P.11)

『この世で最も尊ばれるべきことは、金を残すことでもなく、名誉を残すことでもなく、後世の人々に幸せを導く遺り物(社会基盤施設)をすることだ』という社会基盤施設を造るということが、非常に高度な意思決定であるということを意味している言葉です。これは札幌農学校二期の学生で、クラーク博士に師事し、明治、大正の教育界に影響を与えた人格者である内村鑑三氏の言葉です。(P.21)

災害が各地で頻発し、問い合わせが殺到するような状況で、いわゆる「お役所仕事」では不適切な対応と言わざるを得ないのです。このため、筆者が課の職員に求めたものは、「0.3秒60点」というものでした。私からの質問に対し、即座(0.3秒)に概ね(60点)の回答をしてほしい、内部外部を問わず問い合わせが殺到するなかで、「これはどうなっているのか?」という問いに対し、「これはこうなっています」という回答がすぐに出てくる組織であって欲しい、緊張感を持って仕事をしてほしいということを簡単で分かりやすい標語として示したものです。通常、技術者の仕事は、ラインで担当が決まっていますが、自分のライン以外の事柄(仕事)に対しても関心を持ち続けてもらい、少なくとも誰に聞けばその回答に近づくことができるのかを分かっていて欲しいという願いもあったからです。(P.43)

柔構造樋管の第一号施工は、新技術の現場への円滑導入のために建設省(当時)が制度化していました技術活用パイロット事業として実施されましたが、100名を超える見学者の眼前で、ボックスカルバート間の継手部が次々と破壊されていく場面に直面したのです。(略)このような失敗もしましたが、新しい技術を確立・定着させるには必ず躓きがあるものだから、失敗して悄気ることはなく、それを乗り越えるだけの度量を持つことが肝心であると強く思いました。(P.65)

基準やマニュアルは策定した日から常にメンテナンスが必要であるということです。(略)一昔前は、革紐綴じの法令集や基準書を普通に見ることができましたが、これは基準や規定が日進月歩で絶えず変わっていくことを前提にして、内容が変わればそのページ分だけを更新し、新たな動きに応答していく極めて合理的な仕組みを備えていました。(略)現在、土木分野の基準類の大半は書物となったため、変更する数ページのためだけに改訂版を作ることが難しくなりました。(P.70)

『法に叶い、理に叶うとも、情に叶うものでなければ、真の地元住民からなる理解と協力を得ることは出来ない。』という名言をご存知でしょうか。昭和48年に完成した筑後川(九州)の松原・下筌ダムの建設に際し、「蜂の巣城紛争」として後世に伝えられるダム反対運動を展開した室原知幸氏の言葉です。(P.73)

オーストリアの社会心理学者フリッツ・ハイダー(Fritz Heider, 1896~1988)は「ハイダーのバランス理論」として次のように説いています。三者の関係の良しあしをプラス(+)とマイナス(-)で表現した際に、この三者関係(三角形の三辺の(+と-)属性)の掛け算の積がプラス(+)になる場合には安定(均衡)した状態であり、マイナス(-)となれば三者の関係は不安定(不均衡)な状態であると定義します。(P.112)

「リスキー・シフト(Risky Shift)」や「コーシャス・シフト(Cautious Shift)」といった、いわゆる「集団極性化現象(Group Polarization)」の発現にも十分な注意が必要です。会議などの集団で意思決定を行う場において、声高に主張する人の意見などに引きずられ、自らが決定していた(考えていた)意見より、より大胆でより危険な方向へ意思決定がなされてしまったこと(リスキー・シフト)や、その逆に、より保守的でより安全な方向へ意思決定がなされてしまったこと(コーシャス・シフト)を経験されている方も数多くいるはずです。(P.114)

総じて言えば、危機管理時の指揮官に最も大切なことは、難局に対処した時でも努めて凶報を平静に聞くということ、すなわち、悪い情報に強い人間であるということです。これは平時においても同様であり、危機時の指揮官に求められる大きな条件となるのです。(P.119)

技術の世界は、いかなる場面においても躊躇ない判断というものが求められ、判断を躊躇していると物事はどんどん悪い方向へ流れて行ってしまうことがよくあります。読者の皆さんも多くの経験があるかと思いますが、理論解が得られるまで判断を待てるということは非常に少なく、建設技術者の技術に裏付けされた主観で判断を迫られることの方が多いくらいです。建設現場で必要とされる判断もそうですが、制度設計や制度改革などで要求される判断についても同じことが言えるのです。建設技術者に求められる技術というのは、これまでの経験や知識に裏付けされた判断力、総合技術にあると言っても過言ではありません。(P.147)

自らの人生で被告席に座るということを率先して人生経験の中に組み込む人はいないと思いますが、筆者は裁判で「被告席」に座すことが一度だけありました。昭和49年9月の多摩川水害に係る裁判です。この裁判では国側(河川管理者)の堤防決壊という水害に対する「予見可能性」が争点となり、当時の治水の考え方である堤防と堤防に挟まれた河道の中で河川の安全性を如何に確保し、河川管理者はどこまで責任を取るべきかというものでした。(P.177)

その教えは、まずは、技術とは一体何かということについて、技術は進化し、固定的な考え方で技術を捉えるものではないとする哲学を叩き込まれたものでした。ですから、基準やマニュアルに筆者が関わるときには、基準やマニュアル通りでは簡単には了解せずに、いくつもの方法を考え、それらを使っても良いという技術的判断ができて初めて使うことにしたのです。もう一つは、技術者は何事にも最善を尽くすということ、悔いを残さないようにしてやり遂げるということで、自らその事象に対峙し、どこに問題の所在があるかを見つけ、それをどのように改善していくかということに最善を尽くすことが大切であるというものでした。諦めずに悔いのないようにしよう、技術には不変なものはなく進化するものだというような、おぼろげではありますがそんな想いを教えられたことが想起されます。(P.182)

「技術の世界は、いかなる場面においても躊躇ない判断というものが求められ~」(P.147)の箇所は、前に読んだ「技術屋の心眼」にも非常に通じるものがあると思われた。(読書録:技術屋の心眼
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# by kan-net | 2015-05-27 03:42 | 読書
動かないと動かない、放浪してみてはどうか
ぱりぷーの普段の暮らしはこんなものなのだが、思っていたより就職活動がずっと難航していて、気持ち的に落ち込み始めた。午後に図書館に行くというのは塞ぎがちな気分を開くためでもある。

しかしどうも袋小路に入り込みつつあると感じている。今日はそこで前職の先輩に時間をもらいSkypeで相談をさせていただいた。

いくつもアドバイスを頂いたのだけど、端的に響いたのが「動かないと、動かないぞ」という言葉。「どんどん人に会え」と。全く当たり前のことなのだけど、当初の目論見が一通り外れ、ガッカリしながらも次の段階へと移らなくちゃいけない今のタイミングにハッキリそう言われたことで、あー本当にそうだな、と。まだ何人かお会いしていない人がいるので、さっそく連絡してみることにした。今は躊躇わずいろいろな人にご迷惑になるべき時なのだろう。

あとは「旅とかしても良いんじゃない?」と。渡仏の前に就職活動をほとんどしなかったことから渡仏以降は禁欲みたいな気持ちがあり、あとは応募先の会社から連絡をもらった時にすぐ動けるようにということで、なるべくパリに腰を落ち着けて過ごすように心がけてきた。ワンルームのアパートも借りた。ただもともと就職活動の状況次第ということで短期を前提として借りた部屋だったこともあり、先日大家さんと話をして、6月14日に転居することになった。ちょうど一か月先だ。なので、その時点になってまだ就職先が見つかっていなければ、パリのフランス家庭にホームステイしようと思っていた。

でもパリに留まる必要はないかもしれない。確かにここからなら呼び出された時に他の都市への移動も簡単だし、勝手を知った都市だから過ごしやすいというのはある。ただ今はSkypeでのインタビューも多いようだし、呼び出されたとしてもパリに居ると居ないではかかる時間と交通費に多少の違いがあるだけだ。他の町へ移ったとしてもそんなに大きな問題はないかもしれない。何より、就職活動が上手くいかない中でルーティン化した日々を過ごして、どんどん動きが小さくなっていく自分が気持ち悪い。

行きたい町はたくさんある。行っちゃおうかな、と思いついた。特に就職希望先の企業がある町を優先的に選んで行っちゃえば、上手くいけばそこで人に会うこともできるかもしれない。荷物はまた友達の家に置かせてもらって、バックパックを背負って、移動ばかりだとさすがに就職活動上も問題があるので、一つの町に1週間か10日間くらいは滞在して。企業の様子を見たり就職活動でできることをやったら、観光もほどほどにしつつ、安宿の主人とダラダラ話をしたり、本を読んだりして、そうして何となく馴れて進まなくなったら次の町へ移動する。

思い付き段階の印象としては、やってみても良いかもしれない。やってみてダメだったらパリに戻ってまたアパートに住めばいい。それ以前にまず就職先が見つかればその時点でこの放浪は始まることなく終わるかもしれない。そう考えるとむしろ残念なくらいだ。こんな放浪が続いてしまった場合、いずれ虚しさを感じることもあるだろうが、ここにいても既に閉塞感はある。だったら少しでも楽しそうなことをして自分を開いていった方が愉快なんじゃないか。

悪い方の要素を考える。
・会社が連絡をくれた時に「旅行中」だと、既に半年も無職なのにこいつはアホなのかとなる可能性がある。 ←SNSに載せなければ「ずっと」旅行中ということは発覚しにくいだろうきっと。
・就職活動や勉強に専念できる時間が減る。 ←就職活動の時間は最優先で確保する。勉強に専念できる時間は減る。
・就職活動や勉強に専念できる空間が減る。 ←自分の空間はない。地域の図書館、あるいはカフェなどを使うことになるか。
・不慣れな環境が続くことでのストレス。 ←嫌になったら宿の部屋に引きこもる。それでもダメだったらパリに帰る。
・不慣れな土地での治安リスク。 ←気を付けないといけない。
・行先によってはすぐに移動できないかもしれない。 ←お金を積んで解決する。あと、あまり離れすぎない。
・お金がかかる。 ←お金はかかる。
・荷物を預かってもらう友達に迷惑がかかる。 ←迷惑はかかる。

良い方の要素。
・就職希望先の企業の人と会える可能性が高まる。 ←伝手がなければ依然として難しいだろう。
・少なくともその企業の建物やその周りの雰囲気を見ることはできる。 ←見ることはできる。
・新しい環境に身を置き続けることで自分をフレッシュに保てる。 ←保てる。でも疲れるかも。
・新しい人や町との出会い、発見。 ←うん。


思いついた時点では良さそうな気がしてるけど、ただ単に迷走しているのかもしれない。一晩眠ってまた考えることにしよう。そして飽くまでもこれは全て今後一か月間で就職活動に進展がない場合の話だ。
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# by kan-net | 2015-05-15 08:38 | 何気ない