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王子さま寛訳まとめ(Le petit Prince - fin -)
王子さま寛訳が終わった。

寛訳を始めたのがヴィシー到着10日後の4月17日。そして今日、ヴィシー出発の前夜に全てを訳し終えることができた。最後の方は詰まっちゃって大変だったけど、なんとかやり遂げることができて良かったと思う。

王子さまのメッセージは、「大切なものってなんだろう」ということかな、と思う。人間は数字ばかりを追いかけて急行列車に乗っているけれども、何を追い求めているのか、何が大切なのか、自分でもわかっていない。大切な花のためにガラスケースを被せてあげること、大切な友人のために井戸の水を汲み上げること、そういった大切なものを持つことこそ喜びをもたらすんだよ、ということなのかなと思った。

「大切なものは目には見えない」と訳される有名なセリフがあるけど、物語を振り返って思うのは、「目には見えないのに心が追いかけてしまうのは大切なもの」でもあるなのかなと少し思った。そしてむしろ、目に見えないことが大切なものをもっと大切にするために作用しているように思った。たとえば王子さまが羊から花を守りきれないかもしれないという目に見えない謎があるわけだけども、その謎があるせいで「僕」は王子さまのことを考えずにはいられなくなっているし、王子さまももともと自分の星にいた時には花の大切さに気付いていなかったのに、遠くに来て花がか弱い存在だと感じるようになってから花のことばかり考えるようになった。「目には見えない」というのはこの物語の中でちょっと大きめな意味を持つことなのかなと思う。

全体を通して少しよくわからない要素も多かった。特に王子さまが地球で最初と最後に出会う黄色い蛇はどういう役回りだったのか、未だにわかっていない。まあ良いのだけど。

いずれにせよ4月のフランス語初修時代に始めて、こうして5か月間で最後まで訳すことができ、本当に良かったと思う。けっこう頑張った。今後またすぐにできるとは思わないけど、時間がある時にはまた寛訳をしていこうと思う。


長々と拙い寛訳にお付き合いいただいた方、どうもありがとうございました。怪しいところもかなりあるはずなので、より正確な訳は書店でお求めください。またいずれ寛訳することもあると思うので、その際にはまたお楽しみいただけるように頑張りたいと思います。


~ 寛訳リンク ~
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by kan-net | 2013-08-31 08:29 | 練習
王子さま(寛訳完) ("Le Petit Prince")
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これは、僕にとって、世界中で最も美しくて最も悲しい風景なんだ。これは前のページに描いた風景と同じだけど、君たちにちゃんと見てもらいたくてもう一度描いたんだ。王子さまが地上に現れ、そして去っていったのがここだったから。

もしそのうち君がアフリカの砂漠を旅した時に確かにそれと認識できるよう、しっかりとこの風景を見てほしい。そして、もし君がここを通りかかるようなことがあったら、お願いだから、急いで通り過ぎるんではなくて、星の下でしばらく待ってみてほしいんだ!その時もし子供が君のところへ来て、笑って、金色の髪をしていて、質問をしても答えないようだったら、君は彼が誰だかわかるはずだよ!そしたらどうかお願いだ!僕をこんなに悲しませておかないでほしい。彼が戻ってきたことをすぐに僕に知らせてほしいんだ・・・。




~完~

ついに王子さまの訳が全て終わりました。あとがきは本来ならば第二十七話と一緒に書くべきだったかも。まあ良いでしょう。

写真は本文内にある通りに前と同じ画を使ったけれども、本では同じ砂漠の風景の中に王子さまがいるもの・いないものの二枚があるので、ニュアンスが再現できなくて残念だった。だからと言って電柱を消すとか言う小細工をするのもつまらないので。
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by kan-net | 2013-08-31 07:27 | 練習
王子さま(寛訳27) ("Le Petit Prince")
二十七

そして今はそう、あれからもう六年になる・・・。僕はこの物語を誰にも語ってこなかった。僕と再会した仲間たちは僕が生きて帰ってきたことをとても喜んでくれた。僕は悲しかったのだけど彼らに言った。「大変だったよ・・・。」

今僕は少し安心している。ようするに・・・まったく安心というわけじゃないんだ。でも僕は彼がちゃんと星に戻ったことはわかっている、だって、日が昇った時に、彼の身体が見つからなかったから。それほど重たい身体ではなかった・・・。そして僕は夜になると星たちに耳を澄ませるのが好きなんだ。5億個の鈴が鳴っているようだから・・・。

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でも何か特別なことが起こっているんだ。僕が王子さまに描いてあげたくつわに、革紐を付け加えるのを忘れていたんだ!絶対に羊に着けることはできないと思う。だから僕は自分に尋ねるんだ、「彼の星では何が起きているだろう?きっと羊が花を食べちゃったかもしれない・・・。」

ある時は僕はこう答える、「絶対そんなことないさ!王子さまは夜の間ずっと花をガラスケースに入れて、しっかり羊を監視しているんだ・・・。」すると僕は嬉しく思う。星たちは柔らかく笑うんだ。

ある時は僕はこう答える、「誰だって一度や二度はぼんやりすることがあるだろう、それで十分さ!彼がある夜、ガラスケースをかぶせてあげるのを忘れたり、あるいは羊が夜の間に音も立てずに出て行ったりして・・・。」すると鈴はみんな涙に変わってしまうんだ!


これはすごく大きな謎なんだ。王子さまのことが好きな君たちにとっては、僕にとってと同じように、どこか知らないところで知らない羊が果たしてバラを食べるかどうかということで、世界中が全く違ったものになってしまうのだから・・・。

空を見てごらん。そして自分に尋ねてごらん。「羊は果たして花を食べたんだろうか?」そして君は全てが変わることに気付くんだ。

これがこんなに重要だっていうことを理解する大人は一人もいないけどね!





~完・あとがきに続く~

王子さまが地球を去って。

どうしてくつわを描き忘れてしまったのか!まったく、おかげで心配事が増えてしまったじゃないか。

世界の見方、見え方は人それぞれで違う。どんなことを考えたり思い描いたりするかで、世界の見え方が全く違ってくる。ただしそれは「何が大切か」があって初めて言えることで、そうじゃないとこんなにウキウキ、ワクワク、ドキドキとかできないのかな、と思った。他人から与えられたものでない、僕にとっての大切なもの。いったい何だろう。

写真はヴィシー郊外で見た北斗七星。


王子さま、本編はこれでおしまいですが、あとがきが残っているので明日で本当に完読となる予定です。もう一日だけお付き合いいただきたく。お願いします。
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by kan-net | 2013-08-30 12:52 | 練習
王子さま(寛訳26) ("Le Petit Prince")
二十六

井戸の脇には古い石壁の瓦礫があった。翌日の夕方、僕が修理から戻ってきたとき、僕は遠くから王子さまがその上に座って両足をぶらぶらさせているのを見た。そして僕は彼がこういうのを聞いた。

「つまり君は覚えていないの?」、彼は言った。「ピッタリここではないよ!」

他の声が間違いなく彼に応えた、というのも彼が返事をしたから。

「いや、いや!日付はいいんだよ、でも場所がここではないんだよ・・・」

僕は壁の方へ歩みを進めた。ずっと誰も見えず何も聞こえなかった。だけど王子さまがまた言い返した。

「・・・もちろんさ。砂漠の中で僕の足跡がどこで始まっているか見てごらんよ。君はそこで僕を待っていてくれさえすればいいんだ。今夜そこへ行くからさ。」

僕は壁から20メートルのところにいたけれども相変わらず何も見えなかった。

王子さまは少し黙った後でまた言った。

「良い毒があるの?長い間苦しかったりしないんだね?」

僕は不安を抱きながら立ち止まり、でも相変わらず何もわからなかった。

「ほら、行ってよ・・・」、彼は言った。「下りたいんだ!」

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その時僕は壁の下の方へ目線を下ろし、跳びあがった!そこには、王子さまの方へまっすぐ伸びる、30秒で死に追いやる種類の黄色の蛇がいた。銃で撃ち殺そうとカバンを必死で探りながら、僕は走り出し、だけれども僕がたてた物音で、蛇は噴水が止まったように滑らかに砂の中へ滑り込み、そして、決して急ぎ過ぎることなく、軽い金属音を立てながら石の間へ潜り込んでいった。

僕は壁に駆け寄り、雪のように真っ青になった僕の王子さまをちょうど腕に受け止めた。

「なんてことだ!君は蛇と話をしていたね!」

僕は彼がいつも身に着けている金色のマフラーを取り除いた。僕は彼のこめかみを濡らしてやり、水を飲ませてやった。そして僕は彼にもう何も尋ねられなくなった。彼は深刻そうに僕を見つめ、僕の首に腕を回していた。僕はカービン銃で撃った死にかけの鳥のように彼の心臓が脈打っているのを感じた。彼は僕に言った。

「君の機械のよくなかったところが見つかったみたいで嬉しいよ。家に帰れるね・・・。」

「どうして知っているの!」

僕は、全く予想に反して、修理に成功したということをまさしく彼に伝えに来たのだった!

彼は僕の質問には何も答えず、またこう言った。

「僕も、今日、家に帰るんだ・・・。」

そして、寂しそうに、

「ずっと遠くて・・・ずっと大変なんだ・・・」

僕は何か特別なことが起きているのを感じた。僕は彼を小さな子供のように腕に抱き締めていたのに、彼はまっすぐ深淵へと流れていき僕が彼を引き止めることはできないように思われた。

彼は真剣なまなざしで、ずっと遠くを見つめていた。

「僕は君の羊を持ってる。僕はその羊のための箱も持ってる。それに僕はくつわも持ってる・・・」

そして彼は寂しげに微笑んだ。

僕は長い間待った。僕は彼が少しずつ熱くなっているのを感じた。

「君、怖かったんだね・・・。」

彼は怖かった、もちろんさ!でも彼はゆっくりと言った。

「今夜はもっとずっと怖いよ・・・。」

再び僕は取り返しのつかないことへの気持ちで凍りつきそうになるのを感じた。そして僕は自分がこの笑い声を二度と聞けなくなるなんて考えられないのだと悟った。僕にとってそれは砂漠のなかの泉のようなものだったのだ。

「君、君が笑うのをまた聞きたいよ・・・。」

だけど彼は僕に言った。

「今夜で一年になるんだ。僕の星が去年僕の落ちてきた場所のちょうど真上に来るんだ。」

「君、蛇や待ち合わせや星の話は全部悪い夢じゃないのかい・・・。」

でも彼は僕の質問に答えなかった。彼は僕に言った。

「大切なことは、見えないんだよ・・・。」

「もちろんさ・・・。」

「花と同じなんだ。もし君が一つの星にある花を愛したとしたら、素敵だよ、毎晩、空を見つめるんだ。全部の星が花で彩られるんだ。」

「もちろんさ・・・。」

「水と同じなんだ。君が僕に飲ませてくれたのは音楽のようだったよ、滑車とロープのおかげで・・・覚えてるかい・・・美味しかったよ。」

「もちろんさ・・・。」

「君は、毎晩、星たちを見上げるんだ。僕の星はあまりにも小さいからどこにあるのか君に教えてあげることはできない。それが良いんだ。僕の星は、君にとっては全部の星のうちの一つになる。だから、君は全部の星を見ることが好きになるよ・・・。全部の星が君の友達になるんだ。それに僕は君に贈り物をあげる・・・。」

彼はまた笑った。

「ああ!君、君、僕はこの笑い声を聞くのが好きなんだよ!」

「まさしくこれが僕の贈り物・・・水と同じだよ・・・。」

「どういうこと?」

「みんなにとって星は同じものじゃないんだ。旅をする人たちにとっては、星は道標。他のある人たちにとっては小さな明かりに過ぎない。他のある人たち、学者にとっては、解決すべき問題。僕の会った実業家にとってはお金だった。でもすべての星たちは黙ってる。君は、誰も持っていないような星を手に入れるんだよ・・・。」

「どういうこと?」

「夜、君が空を見上げるとき、僕が星たちの一つに住んでいるから、僕が星たちの一つで笑っているから、君にとっては全ての星が笑っているようになるんだ。君は、君だけは、笑う星を手に入れるのさ!」

そして彼はまた笑った。

「そして君は慰めを必要としている時(いつだって僕らは自分を慰めるね)君は僕と出会って良かったと思うよ。君はずっと僕の友達だよ。君は僕と笑いたいと思うよね。それで君はたまに窓を開くんだ、こんな風に、わくわくして・・・。君の友達は君が空を見ながら笑っているのを見てすごく驚くだろうね!それで君は言うのさ、”そう、星たちは、いつも僕を笑わせるんだよ!”彼らは君のことを馬鹿だと思い込むだろうね。僕は君にいたずらを仕掛けたことになるのさ・・・。」

そして彼はまた笑った。

「これは君に、星たちの中に、小さな笑う鈴をたくさんあげたようなものだね・・・。」

そして彼はまた笑った。そして彼は真剣な表情に戻った。

「今夜は・・・ねえ・・・来ないでほしいんだ。」

「僕は君から離れないよ。」

「僕は具合が悪い様子になるんだ・・・死んだような様子になるんだ。そういうものなんだ。そんなの見に来ないで、そんなことしなくていいんだよ・・・。」

「僕は君から離れないよ。」

でも彼は心配していた。

「君には言うけど・・・これは蛇のためでもあるんだ。彼が君に咬みついたらいけないだろう・・・。蛇は、いじわるなんだ。楽しみのために咬みつくかもしれないよ・・・。」

「僕は君から離れないよ。」

でも彼を何かが安心させた。

「二度目に咬みついた時にはもう毒はないっていうのは本当だよね・・・。」

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その夜僕は彼が出発するのいに気付かなかった。彼は音も立てずに抜け出したのだった。僕がどうにか彼に追いついた時、彼は断固とした足取りで足早に歩いていた。彼は僕にこうとだけ言った。

「ああ!君は来たんだね・・・。」

そして彼は僕の手を取った。しかし彼はもう悩まなかった。

「君は間違っているよ。君は嫌な思いをするよ。僕は死んだような様子になるけどそれは本当じゃないんだ・・・。」

僕は黙っていた。

「わかるでしょ。すごく遠いんだ。僕はこの身体を運ぶことはできないんだ。重すぎるからね。」

僕は黙っていた。

「でも捨てられた古い皮みたいになるんだよ。古い皮みたいになっても悲しいことじゃないんだ・・・。」

僕は黙っていた。

彼は少しためらった。でも彼はもう一度勇気を振り絞った。

「素敵だろうね。僕も星を見上げるよ。全部の星がカラカラ回る滑車を付けた井戸になるんだ。全ての星が僕に水を注いでくれるんだ・・・。」

僕は黙っていた。

「きっととても楽しいよ!君は5億個の鈴を、僕は5億個の泉を手に入れるんだよ・・・。」

そして彼もまた黙った。彼も泣いていたのだった・・・。

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「ここだよ。一人で行かせて。」

そして彼は恐れを抱いて座り込んだ。彼はまた言った。

「ねえ・・・僕の花・・・僕は僕の花に責任があるんだ!そしてあの花はとても弱いんだ!あの花はとても純粋なんだ。あの花は世界から身を守るのに何の役にも立たない四本の棘を持ってるだけなんだ・・・。」

僕はそれ以上立っていられなくなって座り込んだ。彼は言った。

「そう・・・。そういうこと・・・。」

彼はまだ少しためらい、それから立ち上がった。彼は歩いた。僕は動けなかった。

彼のくるぶしのあたりに黄色い閃光が落ちたのが全てだった。その刹那、彼は動かなかった。悲鳴も上げなかった。彼は木が倒れるようにゆっくりと倒れた。砂の上で、音も立てなかった。




~続く~


王子さまと蛇との再会から、王子さまの贈り物、王子さまとの別れに至るまで。すごく長かったので二日間に分けた。

読み取り能力の問題なのか、蛇が結局何をしたのかよくわからなかった。王子さまが毒を食らったことはわかったのだけど、いつ?

王子さまの贈り物は少なからず感動した。星の話は基本的に好きだけど、そこに笑い声を足すなんて、王子さまもなかなか可愛いことをしてくれる。

最後、音も立てずに行ってしまった王子さま。切ない。

写真はCharrouxの街の旧境界線にあるゲート(門)と、同じくCharrouxの街角で見つけたかわいい道案内。
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by kan-net | 2013-08-28 09:31 | 練習
王子さま(寛訳25) ("Le Petit Prince")
二十五 

「人間って」、王子さまは言った、「わざわざ特急電車に乗り込んで、でも自分が何を探し求めているのかも知らないんだよ。彼らは動き回って堂々巡りばっかりしてるんだ・・・。」

そしてこう付け加えた。

「そんな苦労することないのに・・・。」

僕たちが行きついた井戸はサハラの井戸に似つかわしくないものだった。サハラの井戸は砂の中に掘られた単純な穴だ。ここの井戸は村の中にある井戸のようだった。しかしそこには村など一切なく、僕は夢を見ているのだと思った。

「これは妙だよ」、僕は王子さまに言った。「全部そろってる。滑車に桶、ロープ・・・。」

彼は笑い、ロープに触れて、滑車を回した。

滑車は長い間風が吹かなかった時の風見鶏のように音を立てて軋んだ。

「聞こえるかい」、王子さまは言った、「僕たちがこの井戸を起こして、井戸が歌っているよ」

僕は彼に力作業をさせたくなかった。

「僕にやらせて」、僕は彼に言った、「君には重すぎるよ。」

ゆっくりと僕は桶を縁石まで引き上げた。僕はそこにしっかりと置いた。僕の耳には滑車の歌が鳴り続け、まだ揺れている水面に、僕は太陽が揺れているのを見た。

「僕この水が飲みたいな」、王子さまは言った、「飲ませて・・・。」

そして僕は彼が何を探していたのかが分かったのだった!

僕は桶を彼の唇まで持ち上げた。彼は目を閉じて飲んだ。祝祭のように柔らかだった。この水は単なる栄養物とは全く違った何かだった。この水は星の下を歩き、滑車が歌い、僕の腕が引き上げて生まれたのだ。この水は贈り物のように心に沁みわたった。幼い頃、クリスマスツリーの明かり、夜中のミサの音楽、柔らかな微笑みが、僕のもらったクリスマスプレゼントの全ての輝きを創り出していたのだった。

「君の星の人たちは」、王子さまは言った、「一つの庭に五千のバラを植えるんだよ・・・それで彼らは自分たちが何を探し求めているのかも知らないんだ・・・。」

「知らないね・・・」、僕は応えた。

「だけど彼らが探し求めているものはたった一輪の花やほんの少しの水の中に見つかるかもしれないんだよ・・・。」

「もちろんさ」、僕は応えた。

そして王子さまはさらに言った。

「でも目は盲目なんだよ。心で探さなくちゃいけないんだ。」


僕は飲んだ。僕はしっかり息を吸った。砂漠は、明け方、琥珀色に染まっていた。僕はこの琥珀色にも喜びを感じていた。どうして僕はわざわざ苦労しなくちゃいけないのか・・・。

「君は約束を守らなくちゃいけないよ」、再び僕の近くに座っていた王子さまは、ゆっくりと僕に言った。

「どの約束?」

「ほら・・・僕の羊のくつわだよ・・・僕はこの花に責任があるんだから!」

僕はカバンから画の下描きを取り出した。王子さまはそれをちらと見て笑いながら言った。

「君のバオバブ、ちょっとキャベツみたい・・・。」

「おお!」

僕はバオバブに結構自信があったのに!

「君のキツネは・・・耳が・・・なんだか角みたいだ・・・それに長すぎるよ!」

彼はまた笑った。

「そんなの不公平だよ、君、僕は不透明なボアと透明なボアしか描けなかったんだよ。」

「おお!そうさ」、彼は言った、「子どもは知っているからね。」

僕はそれでくつわを描いた。そして彼にそれを渡しながら僕は心が締め付けられた。

「君は僕の知らない計画があるんだね・・・。」

でも彼は僕に応えなかった。彼は言った。

「ねえ、僕が地球に落ちてきたの・・・明日でそれから一年になるんだ。」

それから、静寂の後で彼はまた言った。

「僕ここのすぐ近くに落ちてきたんだ。」

そして彼は赤くなった。

再び、なぜかわからないけれども、僕は不思議な悲しみを感じた。だけれども一つの疑問が浮かんだ。

「そしたらつまり、君に出会った朝、一週間前、こんな風に君が散歩して、人の住んだところから千マイルも離れたところにいたのは、偶然じゃなかったんだ!君は落ちてきたところに戻っていたの?」

王子さまはさらに赤くなった。

そして僕は、ためらいながら、さらに言った。

「それは、きっと、一年になるから・・・?」

王子さまはまた赤くなった。彼は全然質問に答えなかった、けど、赤くなるのって、『そう』っていう意味だよね?

「ああ!」、僕は彼に言った、「怖いよ・・・。」

でも彼は僕に応えた。

「君は作業をしなくちゃ。機械のところに行かなくちゃいけないよ。僕はここで君を待ってる。明日の夕方に戻ってきて・・・。」

でも僕は安心できなかった。僕はキツネのことを思い出していた。なつかされていると、少し泣いてしまう恐れがあるんだ・・・。




~続く~


井戸の水を飲み、王子さまとの別れが近づく。

不思議な井戸。素敵な井戸。滑車の歌、きっと素敵なんだろうな。

いきなり王子さまとの別れが近づくのはびっくり、読んでて悲しい気持ちになった。いきなりくつわを描いてとお願いしたり、明日で一年になるんだって言ったり、けっこうズルい!

あと三話(本編は二話、あと後書き)。
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by kan-net | 2013-08-26 10:43 | 練習
王子さま(寛訳24) ("Le Petit Prince")
二十四

それは僕の飛行機が砂漠で故障してから8日目のことで、僕は持っていた水の最後の一滴を飲みながら商人の話を聞いていた。

「ああ!」、僕は王子さまに言った、「とても素敵だね、君の思い出は、でも僕はまだ飛行機を直してなくて、僕はもう飲み物がなくてね、僕だって、ゆっくりゆっくり泉の方に歩いていけたらどんなにか嬉しいだろうね!」

「僕の友達のキツネが僕に教えてくれたのはね・・・」

「ああ君、キツネの話はもういいんだ!」

「どうして?」

「どうしてってもう喉が渇いて死んでしまいそうだからさ・・・」

彼は僕の理屈がわからず、僕に応えた。

「友達を持つことは良いことだよ、たとえ死んでしまったとしてもね。僕はキツネと友達になれてとても嬉しいよ。」

『彼はこの危険な状況をわかってないんだ』、僕は思った。『彼は全くお腹が空いたり喉が渇いたりしないんだ。ちょっと陽が昇ればそれでいいんだ・・・』

でも彼は僕を見つめて僕の考えに応えた。

「僕だって喉が渇いたよ・・・井戸を探そう・・・」

僕はうんざりという身振りをした、際限ない砂漠の中で当てどもなく井戸を探すなんて馬鹿げているからだ。だけれども僕たちは歩き出した。


僕たちは黙って何時間か歩き、夜が訪れ、星たちが輝きだした。僕は喉の乾きで少し発熱しながら、夢の中にいるように星たちをぼんやりと眺めていた。王子さまの言葉が僕の記憶の中でぐるぐる回っていた。

「つまり君も、喉が渇いているの?」、僕は彼に尋ねた。

だけど彼は僕の質問には応えなかった。彼は僕にこうとだけ言った。

「水は心にも良いんだよ。」

僕は彼の答えが理解できなかったけれども黙っていた・・・彼に質問してはいけないということが分かっていたから。

彼は疲れていた。彼は座った。僕は彼の近くに座った。そして、ちょっとした静寂の後で、彼はまた言った。

「星が綺麗だね、誰にも見えない一輪の花があるから。」

僕は「もちろんさ」と答え、何も言わずに、月の下の砂の隆起を見つめた。

「砂漠は綺麗だね」、彼は言った・・・。

それは本当だった。僕はずっと砂漠が好きだった。僕たちは砂丘に座っていた。何も見えなかった。何も聞こえなかった。だけれども何かが静かに輝いていた。

「砂漠が美しいのは」、王子さまは言った、「どこかに井戸を隠しているからだね・・・。」

驚いたことに僕は突如として砂漠のこの不思議な輝きを理解した。幼い頃、僕は古い家に住んでいて、そこに宝物が隠されているという言い伝えがあった。もちろん、誰もそれを見つけていないし、おそらく誰もそれを探しすらしなかった。だけどその宝物は家全体に魔法をかけていた。僕の家はその心の深いところに神秘を隠していたのだった・・・。

「その通りだね」、僕は王子さまに言った、「家、星、それに砂漠についても、それを美しくしているものは目に見えないんだね!」

「うれしいよ」、彼は言った、「君が僕のキツネに同意してくれて。」

王子さまが眠りについたので、僕は彼を腕に抱き、再び歩き出した。僕は心動かされていた。僕はとてももろい宝物を運んでいるように感じていた。また地球上にこれほどもろいものはないように思われた。僕は月の光の下で、その青白い額、閉じられた瞳、風にたなびく髪の毛を見て、そして思った、「そこに見えているものは表面でしかないんだ。一番大切なものは目に見えないんだ・・・。」

その半開きになった唇がふと微笑みかけたのを見て僕はまた思った、「この眠った王子さまを見てこんなに強く僕の心動かしているのは、それは一輪の花に対する彼の誠実さだ、それはランプの灯のように彼の中で輝いている一輪のバラの存在なんだ、たとえ彼が眠っていても・・・」そして僕は彼がさらにもろい存在なのだと気付いた。ランプはしっかり守ってあげなくちゃいけない、一筋の風が火を消してしまうかもしれないのだから・・・。

そうして歩いていき、夜明けごろに僕は井戸を見つけた。

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~続く~


物語の舞台が砂漠の「僕」のもとへ戻ってきた。井戸を探して王子さまと歩き回る。なかなか素敵な内容だと思った。

僕は海や山、特に空を見るのが好きで、特にその理由は考えてなかったのだけど、そこに計り知ることのできない神秘というか自然の存在を感じるからかもしれないな、と思った。

写真は先週末に行ったCharrouxの井戸。

さて残りヴィシー生活も一週間だ。
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by kan-net | 2013-08-24 09:07 | 練習
王子さま(寛訳23) ("Le Petit Prince")
二十三 

「こんにちは」、王子さまは言った。

「こんにちは」、商人は言った。

喉の渇きを抑える最新の丸薬を売る商人だった。週に一錠飲めば何か飲みたいとの欲求を感じなくなるのだった。

「なんでそれを売ってるの?」、王子さまは言った。

「時間がずっと節約できるのさ」、商人は言った。「専門家が計算したんだ。一週間で五十三分間の節約になるんだ。」

「そしたらその五十三分間で何をするの?」

「したいことをするさ。」

『僕なら』、王子さまは思った、『五十三分間あったら、ゆっくりゆっくり泉の方に歩くけどな。』




~続く~


すごい薬を売る商人が現れたものだ。

「五十三分間」とか。この中途半端に具体的な数字が馬鹿らしさを引き出しているな。

ヴィシー生活残り10日間、王子さま残り5話。
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by kan-net | 2013-08-21 08:55 | 練習
王子さま(寛訳22) ("Le Petit Prince")
二十二 

「こんにちは」、王子さまは言った。

「こんにちは」、転轍手は言った。

「ここで何をしているの?」、王子さまは言った。

「旅人達を振分けているのさ、千人ずつにまとめてね」、転轍手は言った。「彼らを乗せてる電車を送り出すんだ、ある時には右側へ、ある時には左側へとね。」

灯りをつけた特急電車が雷のような音を響かせて転轍室を揺らした。

「すごく急いでいるんだね」、王子さまは言った。「彼らは何を探しに行くの?」

「電車に乗ってる人間たち自身もそんなのは知らないさ」、転轍手は言った。

そして逆の方向へ、明かりを灯した二本目の特急電車が大きな音を響かせていった。

「もう戻ってきたの?」、王子さまは尋ねた・・・。

「同じやつじゃないよ。」、転轍手は言った。「入れ替わってるんだよ。」

「満足いかなかったってこと?自分たちのいた所に?」

「自分のいるところに満足することなんてないさ」、転轍手は言った。

そして明かりを灯した三本目の特急電車が轟音を響かせていった。

「最初の旅人を追いかけているの?」、王子さまは尋ねた。

「彼らは何も追いかけちゃいないのさ」、転轍手は言った。「彼らは電車の中で寝ているか、あるいはあくびでもしているよ。子供たちだけが窓ガラスに鼻を押し付けているのさ。」

「子どもたちだけが自分たちの探しているものを知ってるんだね」、王子さまは言った。「子どもたちは布人形で時間を無駄にして、いずれその人形がとても大切になって、もし子どもたちから人形を取り上げたら、彼らは泣くんだ・・・」

「彼らは運がいいさ」、転轍手は言った。

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~続く~


短いけど読み切れない要素の多い話だった。

「転轍」というのは電車の分岐器の操作のこと。話中には「aiguilleur」という言葉が出てきていて、これは直訳すると転轍する人つまり「転轍手」となる。てことは、こんなにあっさり書かれているけど、つまり王子さまは既に第一星人に出遭ったということ?そこらへんがわからず、もしかして物体を擬人化して表現しているのか?などと考えたりもしたけど、後の話を読んでここは転轍手が第一星人だったということで押し切ることにした。

最後の布人形のくだりとかも、ちょっとピンと来なかった。

ただ大枠としての意味は、「そんなにセカセカ慌ただしく往来して何をしたいんだい」というあたりかと思う。都市にいても荒野にいても同様のスピードで進む時間の中で、大小さまざまなことで(多くは個人的な小さなことで)喜んだり悲しんだりしながらみんな生きてる。何のために鉄道を敷設して電車に乗って、眠りこけたりしながら急いで移動しているのか?

まあ良かろうよ。夜更けだ。

写真は久々にうちのネコ殿。
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by kan-net | 2013-08-20 09:57 | 練習
王子さま(寛訳21) ("Le Petit Prince")
二十一 

その時キツネが現れた。

「こんにちは」、キツネは言った。

「こんにちは」、王子さまは礼儀正しく言って振り返ったが誰も見えなかった。

「僕はここだよ」、声がした、「リンゴの木の上。」

「君は誰?」、王子さまは言った。「とてもきれいだね。」

「僕はキツネさ」、キツネは言った。

「こっちに来て僕と遊んでよ」、王子さまは彼に言った。「僕すごく悲しいんだ・・・」

「君とは遊べないね」、キツネは言った。「なつかされてないから。」

「ああ!ごめんなさい」、王子さまは言った。

しかし考えた末に、彼はこう付け足した。

「『なつく』ってどういう意味?」

「君はここの人じゃないね」、キツネは言った。「何を探してるの?」

「僕は人間を探してるんだ」、王子さまは言った。「『なつく』ってどういう意味?」

「人間は」、キツネは言った、「彼らは鉄砲を持っていて狩りをするんだ。すごく厄介なんだぜ!彼らはそれと鶏を育ててる。彼らの唯一の関心なんだな。君は鶏を探してるの?」

「ううん」、王子さまは言った。「僕は友達を探してるんだ。『なつく』ってどういう意味?」

「ずいぶん忘れ去られたことさ」、キツネは言った。「『関係を築く』ことだよ・・・」。

「関係を築く?」

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「その通りさ」、キツネは言った。「君は僕にとってはまだ十万人の男の子と全く同じの一人の男の子でしかないんだ。僕は君を必要としていないでしょ。そして君も僕を必要としていない。僕も君にとってはまだ十万匹のキツネと同じの一匹のキツネでしかないからね。だけど、もし君が僕をなつかせたら、僕たちはお互いを必要とするんだ。君は僕にとって世界で唯一の存在になる。僕は君にとって世界で唯一の存在になる・・・」

「なんだかわかってきたよ」、王子さまは言った。「花があるんだ・・・あの花は僕をなつかせたに違いないや・・・」

「そうかもしれないね」、キツネは言った。「地球ではどんな種類のものにだって出会うからね。」

「ああ!地球での話じゃないんだ」、王子さまは言った。

キツネはとても不思議がった。

「他の星ということ?」

「そう。」

「狩人はいるの、その星には?」

「ないよ。」

「それはおもしろいね!じゃあ鶏は?」

「ないよ。」

「完璧なものはない」、キツネはため息をついた。

しかしキツネは考え直した。

「僕の暮らしは単調なんだ。鶏を追いかけて、人間が僕を追いかけるんだ。鶏はどれも似てて、人間もどれも似てる。だから僕はちょっと退屈なんだ。でも、もし君が僕をなつかせたら、僕の暮らしは明るくなるんだ。僕は他とは違う足音を聞き分けるんだ。他の足音を聞いたら僕は地中に戻る。君の足音が僕を巣から呼び出すんだ、まるで音楽のようにね。それにごらんよ!ほら、そこに小麦畑があるだろう?僕はパンを食べないんだよ。小麦は僕にとって何の役にも立たないんだ。小麦畑は僕にとって何でもない。そんなの、悲しいことだよ!でも君は金色の髪をしている。だから君が僕をなつかせてくれたら素晴らしいよ!金色の小麦が君を思い起こさせるんだ。そして僕は小麦のあいだを吹く風の音を好きになるんだ・・・」

キツネは黙って王子さまを長い間見つめた。

「お願い・・・僕をなつかせて!」、彼は言った。

「わかるんだけど」、王子さまは応えた、「そんなに時間がないんだ。僕は友達を見つけてたくさんのことを知りたいんだよ。」

「僕たちはなつかせた物のことしか知らない」、キツネは言った。「人間は何かを知るための時間がもうないんだ。彼らは商人のところで出来合いのものを買う。でも商人に友達なんていないから、人間にも友達なんていないんだ。もし友達がほしかったら、僕をなつかせて!」

「どうしたらいいの?」、王子さまは言った。

「とても辛抱強くなくちゃいけない」、キツネは応えた。「君はまず僕からちょっと離れたところに座るんだ、こんな感じで、草原で。僕は君を目端で見て、でも何も言わないんだ。言葉は誤解のもとだからね。でも、日ごとに、君は少しずつ座るのさ。」

翌日王子さまは戻ってきた。

「同じ時間に戻ってきた方が良かったな」、キツネは言った。「もし君が、例えば、午後の4時に来るとしたら、3時から僕は嬉しくなるんだ。時間が進むにつれて、僕はますます嬉しい気持ちになる。4時になると、今度は、僕は落ち着かなくなってソワソワし始めるんだ、僕は幸せな時の素晴らしさを知るんだよ!でももし君がいつでも来ちゃうと、僕はいつ心の準備をするか全然わからないだろう・・・慣わしが必要なのさ。」

「慣わしって?」、王子さまは言った。

「これもずいぶん忘れ去られたことさ」、キツネは言った。「これは一日を他の日とは違った一日に、一時間を他の時間とは違った一時間にするもののことなんだ。例えばうちの狩人の家にもひとつの慣わしがある。彼らは木曜日に街の娘たちと踊るんだ。だから木曜日は素晴らしい日なんだよ!僕はブドウ畑まで散歩をするんだ。もし狩人がいつだって踊っていたら、毎日はいつだって同じで、僕は休みに出かけることだってできないんだよ。」

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そうして、王子さまはキツネをなつかせた。そして出発の時が近づいたとき、

「ああ!」、キツネは言った。「・・・泣きそうだよ。」

「君のせいだよ」、王子さまは言った、「僕は君に悪いことをしようなんてこれっぽっちも願わなかったのに、君が僕になつかせてほしかったんだから。」

「その通りさ」、キツネは言った。

「でも君は泣くんでしょ!」、王子さまは言った。

「その通りさ」、キツネは言った。

「そしたら何にもならないじゃないか!」

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「僕は良いんだよ」、キツネは言った。「小麦の色があるからね。」

さらに彼は付け足した。

「バラたちを見に行っておいで。君のが世界で唯一の存在だってわかるよ。僕にさよならを言いに戻っておいで、そしたら僕が君にひとつの秘密を贈ってあげる。」


王子さまはバラたちを見に行った、

「君たちは僕のバラにちっとも似ていないし、君たちは何でもないよ」、彼はバラたちに言った。「誰も君たちをなつかせないし君たちも誰もなつかせない。君たちはこないだまでの僕のキツネみたいなものなんだ。彼は十万匹のなかの一匹に過ぎなかった。でも僕は友達になって、彼は今は世界で唯一の存在なんだ。」

バラたちはとても困惑していた。

「君たちは美しいよ、でも君たちは何でもないんだ」、彼はさらに言った。「君たちのために死ねる人はいないんだ。もちろん、僕のバラは、普通の通りがかりの人が見たら君たちに似ていると思い込むだろうね。だけどあの花だけは、君たちみんなよりも大切なんだ、だって僕が水をやったのはあの花なんだから。だって僕が植え付けたのはあの花なんだから。だって僕がついたてで守ってあげたのはあの花なんだから。だって僕が毛虫をとってやったのはあの花なんだから(蝶々になるから2,3匹は残しておいたけどね)。だって僕が不満を言ったり自慢をしたりもっと言えばたまに黙ったりするのを聞いていたのはあの花なんだから。だって僕のバラなんだから。」

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そして彼はキツネのもとに戻った。

「さようなら・・・」、彼は言った。

「さようなら」、キツネは言った。「秘密を教えてあげる。とても単純だよ、物事っていうのは心がないとよく見えないんだ。大切なものは目には見えないんだよ。」

「大切なものは目には見えない」、王子さまは繰り返した、覚えておくために。

「君のバラをそんなに大切にしているのは君が君のバラに捧げた時間なのさ。」

「僕が僕のバラに捧げた時間・・・」、王子さまは繰り返した、覚えておくために。

「人間はこの真実を忘れてしまった」、キツネは言った。「でも君は忘れちゃいけないよ。君は君がなつかせたものに対してずっと責任を持つんだ。君は君のバラに対して責任があるんだよ・・・」

「僕は僕のバラに対して責任がある・・・」、王子さまは繰り返した、覚えておくために。





~続く~


長かった・・・新しい単語はほとんどなかったのだけど長かった。ちなみにシャンソン「Les Champs-Élysées(オーシャンゼリゼ)」に出てくるから知っていた「apprivoiser(なつかせる)」という単語、滅多に使うことはないだろうと思っていたけどこの話で頻出していて驚いた。

このキツネ。「僕をなつかせて!」と言ってみたり「人間はこの真実を忘れてしまった」と言ってみたり、なかなか幅広くて良いキャラをしている。しかしこのキツネの言う「大切であること」と「時間」の関係、「なつかせること」と「責任」の関係については、そんなにしっくり来ない。

バラたちについて言えば、戻ってきた王子さまからいきなり罵詈雑言を浴びせられて、かなり気の毒だと思う。というかここに来て王子さまの「花」は「バラ」だったことになってしまうのか。ちょっとショックだ。

「大切なものは目には見えない」というのはもはや王子さまの代名詞のようなものになっているから寛訳でも影響が避けられなかったのがちょっと無念。

残り2週間で残り7話。2日に1話ペースということか!これはまずいな。

写真は8月15日の花火でした。
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by kan-net | 2013-08-17 20:53 | 練習
王子さま(寛訳20) ("Le Petit Prince")
二十

しかし王子さまは、砂、岩そして雪の中を長い間歩き、ようやく道を見つけた。そして道はどれも人の家に繋がっているのだった。

「こんにちは」、彼は言った。

それは薔薇で満たされた庭だった。

「こんにちは」、薔薇たちは言った。

王子さまは薔薇たちを見た。薔薇たちはみんな彼の花に似ていた。

「あなたたちは誰?」彼は驚いて尋ねた。

「私たちは薔薇です」、薔薇たちは言った。

「ああ!」、王子さまは言った・・・。

そして彼はとても悲しく感じた。彼の花は、世界中で自分の種は自分だけだと彼に言っていたのだった。しかしここには似たような花が、たった一つの庭の中に、五千だって咲いているではないか!

「傷つくだろうな」、彼は思った、「もしあの花がこれを見たら・・・きっと馬鹿らしいと思われないようにすごく咳き込んで死んだふりをするだろうな。そして僕はきっと介抱のふりをするのも忘れちゃうんだ、だってそうしないと僕も素直になれないから、そうすると花は本当に死んじゃうかな・・・」

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そして彼はまた思った、「僕はたった一輪の特別な花を持っていて幸せだと思い込んでいたけど、でも僕はありふれたひとつの薔薇を持っていただけなんだ。それと僕の膝までしかない三つの火山、そのうちの一つはたぶんずっと消えたままの火山、そんなのじゃ僕は立派な王子さまでもなんでもないや・・・」。そして、草原の中に突っ伏して、彼は泣いた。





~続く~


王子さま、たくさんの薔薇に遭遇して愕然とする。僕の星の花はありふれた薔薇に過ぎなかったのか?

一輪の薔薇と三つの火山しかないから立派な王子さまでもなんでもない、と泣き出すのはどういったわけなんだろう。所有物を根拠にしたこの反応は意外な感じがしたけれども。

ちなみに王子さまの星にある一輪の花が薔薇らしいと判明するのはこの章が初めて。それも未だ薔薇と断定できるわけではない。このあたり、日本語訳だけバラバラ読んでいると薔薇だと思い込んでしまいがちなので注意が必要。

写真は先日ホストファミリーと天体観測に行ったときの写真。すばらしい星空だった。



・・・んだけど、「この写真、黒い紙に白い点々が着いてるわけじゃないの?」という声を受け、決してそうではないのだけど大学院修士過程での日々を思い出した。実験室にこもり、風洞の中に塩水を飛散させ、コンクリートへの付着・吸収過程を観察する日々。「感水紙」という特殊な紙を用いて飛散する塩水の大きさを調べていたのだったよ。ああ懐かしい。大変だったけど充実した日々だったなあ。


感水紙。
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感水紙映像をモノクロ処理したもの。
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星空。
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違うんです。
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by kan-net | 2013-08-11 01:46 | 練習