日本のEVシェアリングの取組み
昨年5か月間ほどフランスでインターンしていた時に電気自動車とエネルギーマネジメントの関係を調べていた。先日、地方自治体で働く友人と話していたら、ひょっとしたらこの時に目にしていたEVシェアリングに関する情報が役に立つかもしれないと思い、簡単に集め直せる分だけまとめることにした。
せっかくまとめたのでこのブログにも置いておくことにした。この手の情報は全てネット上のものなので誰でも入手できるのだけど、なんとなくの概観を把握するのもけっこう面倒だったりする。そういうので苛立っている方の役に立てば良いと思う。
僕自身はこの業界の人ではないしヒヤリングをしたわけでもないので、中心は外しているかもしれない。新旧の情報がごちゃ混ぜになっているのも承知している(現在2015年4月21日)。その程度のものではあるけど、とりあえず置いておく。



1 コンテクスト

低炭素化が必要とされる中でターゲットとなっている自動車産業とエネルギー産業。自動車は電気自動車(EV)への移行が試みられているがリーズナブルなコストの範囲内で航続距離が延びない。エネルギーは再生可能エネルギーの割合を高めたいが出力の調整が困難なため利用率を高められていない。ここで相補的な解決策として注目されているのが、EVのバッテリーを再生可能エネルギーの蓄電器として利用する技術や、このEVに貯められた電気を家や社会とやり取りさせる V2H(Vehicle to Home)やV2G(Vehicle to Grid)技術で、これらによってEVの付加価値と再生可能エネルギーの利用性を高めている。これらはいわゆるスマートハウス、スマートグリッドの概念の一部でもある。
ただ個人消費者はやはりEVの短い航続距離という欠点に足踏みしており購入台数が伸び悩んでいる。EVシェアリングは共有の自動車として町中の利用に特化することで、短い航続距離の欠点を無効化し、個人消費者の負担を軽減しながらEVの利用を増加させる方策となっている。再生可能エネルギーやV2Gと組み合わせたサービスの実証事業や、超小型EVによる実証事業なども展開されている。
つまりEVはエネルギーマネジメントとの関連で理解することが重要。順位としては「スマートグリッド」あるいは「スマートコミュニティ」が上位、その後に「電気自動車(EV)」、そのさらに後に「EVシェアリング」という印象。


2 EVシェアリング事例
(他にも多数ある。これらが代表的なものとは限らない。)

2.1 市町村
• 豊田市 トヨタ 「Ha:mo RIDE」
 - EVカーシェアの事業化に向けた取り組みを加速(2015年02月24日)
• 横浜市 日産 「チョイモビ ヨコハマ」
 - 商用化を模索する超小型EVカーシェアリング、横浜市の実証実験を1年延長(2014年09月25日)
• 横浜市 メルセデスベンツ、オリックス 「smaco」
 - メルセデス・ベンツやオリックスなどが横浜市で展開する乗り捨て方式のカーシェアリングを延長
• さいたま市 ホンダ 「超小型EVにサクサク乗ってみませんか?」
 - 超小型EVでカーシェアリング、数kmの移動に適する(2014年09月17日)
• 北九州市 パーク24
 - パーク24(株)と北九州市、電気自動車等を活用したカーシェアリング実証実験を開始(2010年10月05日)
• 刈谷市 トヨタ
 - 豊田通商(株)、愛知県刈谷市と共同でEVシェアリングシステムの実証実験を開始(2013年11月28日)
• 函館市 日本ユニシス、日産
 - 路面電車と電気自動車を乗り継いでCO2削減、カーシェアを函館で実証(2014年09月10日)
• 宮古島市 東芝、ホンダ
 - 離島の超小型EVは再生可能エネルギーで運用する、ホンダと東芝が宮古島で実験(2014年01月28日)
• 薩摩川内市 日本ユニシス
 - 1200年の歴史がある鹿児島の離島に電気自動車、太陽光との組み合わせなるか(2013年08月02日)
• 五島市
 - ニッポンレンタカー、長崎県内で電気自動車レンタル (2010年04月01日)
 - 【EV・PHEV】長崎県・五島のEVに関する取り組み(2014年08月01日)
• 飛鳥地方(橿原市、高取町、明日香村) ソフトバンクモバイル、明日香村地域振興公社 [2015年04月23日追加]
 - 【太陽光で走る小型EVが古都を巡る、CO2フリーで観光産業活性化へ(2015年04月22日)

※関連情報 [2015年05月01日追加]
• 国交省が同種の事業を募集。締め切りはいずれも2015年5月22日
 - 国交省、「超小型モビリティの導入促進」事業の公募を開始(2015年04月28日)
 - 国交省、「電気自動車による地域交通グリーン化事業」の公募を開始(2015年04月28日)

2.2 都道府県
• 東京都 トヨタ、パーク24
 - 東京の交通を変えるか小型電気自動車、トヨタとタイムズが協力(2015年02月27日)
• 大阪府 オリックス自動車
 - オリックス自動車(株)など、大阪府内で電気自動車共同利用事業プロジェクトを発足(2010年10月13日)
• 沖縄県 日立
 - 沖縄でEVレンタカーサービスが始まった(2011年02月18日)
• 栃木県 宇都宮大学
 - 栃木県、宇都宮大学との電気自動車カーシェアリング実証事業を実施(2013年01月07日)

2.3 海外(日本企業がらみのもの)
• フランス・リヨン市 東芝
 - NEDO、フランス・リヨンで太陽光発電を活用したカーシェアリングシステムの実証を開始(2013年10月15日)
• フランス・グルノーブル市 トヨタ
 - 【EV】グルノーブルで公共交通機関と連携した小型EVのカーシェアリングサービスの実証試験開始(トヨタ自動車)(2014年07月16日)


3 その他

• マンション等でのEVシェアリングの取組みも多く展開されている。
 - カーシェアリング徹底比較:カーシェアリング付きマンション
被災地におけるカーシェアリングも行われている。但しこれは電気自動車とは限らない(おそらく違う)。
4地域におけるスマートシティ/スマートコミュニティ実証実験
 - 横浜市 東芝
 - 豊田市 トヨタ
 - けいはんな 三菱重工
 - 北九州市 富士電機
Japan Smart Community Alliance
 - 主要なスマートコミュニティ関連事業者が加入
エナリス
 - 日本のエネルギーマネジメント分野、特にデマンドレスポンス(DR)で急成長中
 - EVを活用したディマンドリスポンス実証実験(2014年10月16日)には横須賀市の行政センターが参加
東日本大震災直後の仙台マイクログリッドの運用経験
 - NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業
 - NEDOのスマートグリッドの取組みは多岐にわたる
福島駅のエコステ整備計画(2014年09月29日)
 - スマートビルディングにするとともに災害時の避難場所としても機能。2015年04月05日から運用開始(2015年04月05日)
 - フランスのヴェルサイユの駅はさらに地域のスマートグリッドの制御センターとしての機能も持たせるイノベーション事業を実施中


4 おまけ

• 自動車業界の今後の動向についての考察記事。自動車メーカーが燃料電池車の開発に取り組む理由の一端も垣間見えそう。
 - パナソニックが自動車事業を本格展開する理由(2014年02月03日)
• ただし燃料電池車の開発についてはアメリカ・カリフォルニア州のZEV規制の動向もかなり影響しており、業界の侵食だけが論点では勿論ない。
 - ZEV規制から読み解く環境対応自動車の攻防 〔前編〕 〔後編〕


以上
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by kan-net | 2015-04-21 19:26 | 勉強・見学
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