読書録:星野道夫「旅をする木」
実はフランスへ渡航する前に前職の先輩から頂いていたのだけど、到着してからはフランス語の勉強だのなんだのに忙殺されて結局一部しか読めないまま持ち帰ってきた本。先日ようやく落ち着いて読めました。

星野道夫「旅をする木」文春文庫 1999年

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アラスカに生きた写真家の星野さんが行く先々でいろんな風景や動物や人々に出会って思ったことを記した本。とても豊かな本でした。

特に印象的だったのは「悲しみ」をとても大切に描き出していること。あまり聞きなれないメッセージなのだけど、実はどこかで既にわかっている気のすることが、表現されているのかなと思った。

以下、引用。

「世の中には二種類の人間がいるだけだと、いつか誰かが言っていた。奇妙で、面白い人生を送る人々、そしてもうひとつは、まだ会ったことがない人々」

「私たちは、カレンダーや時計の針で刻まれた時間に生きているのではなく、もっと漠然として、脆い、それぞれの生命の時間を生きている」「自分の持ち時間が限られていることを本当に理解した時、それは生きる大きなパワーに転化する可能性を秘めていた」

「人生はからくりに満ちている。日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会うことがない。その根源的な悲しみは、言い換えれば、人と人とが出会う限りない不思議さに通じている」

「ぼくが東京で暮らしている同じ瞬間に、同じ日本でヒグマが日々を生き、呼吸をしている…確実にこの今、どこかの山で、一頭のヒグマが倒木を乗り越えながら力強く進んでいる…」「ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている」

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by kan-net | 2015-02-10 22:46 | 読書
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