東海道五十三次 第十四日
東海道の旅、第十四日。ちょうど二週間目最終日となる今日は場外で思わぬ展開が。

昨夕辿りついた第四十一の宿場、宮宿。ここから次の宿場まではかつて七里の海路で結ばれていたが、今回の旅でその道程を辿ることはできない。ガイドブックによると陸路は「国道一号線をひたすら歩くので危険も多く勧められない」とあり、この区間にどう対処するかというのは実は旅を始める前からの悩みだった。昔の旅人も船に乗ったのだからと電車に乗ってしまうのはどうも気が進まないし、とはいえ危険が多い道を歩くのも避けたい。そこでネットで調べて判明したのが、代替路「佐屋街道」。海路の欠航および船酔い対策として整備された陸路が存在したのだ。さすが家光!その距離は…37.5kmだと…?

最近は右足付け根の痛みこそ和らいできたものの、両足の踵は接地しただけでも痛むし、左膝もジワジワきているし、両肩と背中はもうバリッバリである。そんな僕に、37.5kmもの最長不倒を歩けとおっしゃる。しかも東海道でもないのに、たった一つの宿場を進むために、だ。はっきり言って大変気が進まない!しかし昔も人によってはこの道を行ったと言うし、僕もどちらかというと酔いやすいタイプなので、ここは船酔いした気分で佐屋街道を行くことにした。朝8時15分に出発。

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行くと決めたら行く。素早く行く。素早く行きながら考えた。古の旅人達が十三日間で江戸から京まで歩いたというのがやはりどうも理解しがたい。そんな行程が本当に可能なのか?古の人々の歩き方は同側の手足を同時に出すナンバ歩きだったという話を思い出して、実践してみたがしっくりこなかった。

佐屋街道にも宿場町はある。しかし東海道の本線ほどは史跡としての保存や整備、展示がされていないようだった。ただ逆にいつもなら宿場町ごとに史跡を探したり写真を撮ったりするために時間を費やしていたが、今回はサクサクと道を進めるので旅路は順調だった。これと言って面白い出来事もないまま三重県に突入。川下には中部地方の雄、ナガシマスパーランドが見える。

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午後5時ちょうど、七里の渡しに到着。かつては宮の渡しからここまで船で来ていたのだな。僕も渡してほしかった。

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しばらく感慨にふけった後、午後5時15分、第四十二の宿場、桑名宿の跡を確認。前の宿場からの距離は約37.5km、所要約8時間15分、歩数55931歩。一つの宿場間とは思えない労力。

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そして午後5時50分、四日市屋旅館に投宿。普通はここで終わる。しかし三重県はここからが違った。

三重県出身の友人からの「その手は桑名の焼き蛤を食べるように」というメッセージを受け、旅館のご主人にお勧めの店を聞いてみた。「おすすめの店はありませんか。蛤とか食べたいです」という言い方が悪かったのだろう。ご主人、心当たりの店にすぐさま電話して空きを確認し、わざわざ連れて行ってくださった。入る直前に一言。「このお店、蛤はないんですけど、とても美味しいですから、ごゆっくり!」。やられた。

そこは完全に居酒屋。カウンターに7,8人座れる程度の地元密着型居酒屋。この旅の途中ではもとより、普段からこういった居酒屋に不慣れな僕としてはどうも身の落ち着かせどころがわからないが、ご主人が紹介してくださったお店を足早に立ち去るのも忍びない。そわそわしながら三重の日本酒三種おためし飲みなどしていたら、隣に来たおばさんに声をかけられる。「あなた、居酒屋来てなにケータイ触ってんのよ」。

そこからは逆隣りのじいさんや店の女将さんを巻き込んで居酒屋談義。居酒屋の魅力の話に始まり、やっぱり酒は止めらんねえ話、じいさんが富山に行こうとして福井に行ってしまった話(意味不明)。極めつけにおばさんが身の上話を切々と語り出してその目から涙が一筋流れたころ、逆サイドのじいさんは寝ていて、僕はここに居酒屋の粋を見た気がした。旅館に帰るとご主人が一言、「どうです楽しかったでしょう」。やられたよご主人。

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感想。東海道を逸れた佐屋街道の旅路は長かったが平坦で歩きやすく、思っていたよりすんなり歩き切ることができた。途中に宿場がないのは場所探しが不要なので良いけど、どうもメリハリがつかなくて退屈だなと思ったのも事実。

そして今回どうしても間の合わなかった愛知県とはそのまま別れてしまい、三重県からは熱烈な歓迎を受けた。まさかこんなところで居酒屋入門することになるとは。メインの「歩き」が終わった投宿以降の全てが予想外過ぎた。ちなみに居酒屋から帰って風呂に入ったら例のごとく畳の上でぶっ倒れてしまい、またこんな時間に日記を書くことに。これまた、やられた。


本日の通過宿場:四十一、宮宿(出発)~四十二、桑名宿(到着)
本日の歩行距離:約41km(GPS経路データより)
本日の歩行時間:約8時間35分
本日の歩数:58190歩
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by kan-net | 2013-02-11 04:24 |
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