東海道五十三次 第十一日
東海道五十三次の旅、第十一日。旅も後半戦に突入。

昨夜の女将の「あなた歩いてるんでしょ?朝ごはん6時から出せますけど?」という誘導尋問に負けず7時に朝食をいただき、フランス語の勉強もしてから朝8時10分に出発。「明日また冷えるらしいよ、体調だけ崩さんように気をつけんとだめだよ」という温かい言葉に送られて今日もさらに西進する。

すぐ真横を東海道新幹線が猛スピードで走り抜けていく。これまで新幹線には何度となく乗ってきたが、今思えばその時には自分が「どこへ向かっているか」しか意識せず、途中に何があるのか、今どこを通っているのかにさして気に留めたことがなかった。古から無数の日本人が往来してきた東海道や宿場を、一瞬すらも視界に入らないようなスピードで通り過ぎていることに思い至ることなど全くなかった。今僕は歩いている。新幹線が2時間半で結ぶ距離を二十日間で歩いている。「自分の足で歩くからこそ見えてくるものがある」といった高尚な言葉はピンとこないけど、「自分の足で歩くからこそ自分のだいたいの居場所がわかる」とは思う。そして自分の好きな歩調で進み、自分の好きなタイミングで立ち止まることができる。

そして僕は午前9時15分、第三十一の宿場、新居宿の前に立ち止まった。前の宿場からの距離は約5.9km、所要約1時間5分、歩数6610歩。

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さらに西進。のどかな畑の中を松並木の東海道が続く。坂を上るとなぜかポルトガル語とスペイン語併記の看板があったりする。そのうち午前11時、第三十二の宿場、白須賀宿に到着。前の宿場からの距離は約6.5km、所要約1時間45分、歩数10454歩。趣深い建物が多く残ったこの町に一体どこぞの人が移り住んでいるのか気になるところ。

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そしてさらに旅路を進めたところに現れた、小さな小さな小川の向こうに掲げられた看板。そう、ついに別れの来たのだ。

ここまで十一日間のうちゆうに八日間を過ごした場所、静岡県。四日目に箱根峠の頂点で僕を待っていてくれたのが静岡県三島市だった。あそこから始まった獣への畏れ、意欲と体力を奪っていった雨、初めての転倒、そして温かい人々との交流、さわやか。元気に挨拶してくれたどまん中東小学校の下校生たちを僕は忘れない。七泊八日の思い出が走馬灯のように頭を胸を去来する。ありがとう静岡、また来るよ。

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そして僕は愛知県に足を踏み入れる。入った端から、大型車両がビュンビュン飛ばす国道一号線を黙々と歩かされる。なんだろう、新入りの度胸を試すためにちょっと脅かしてやろう的なやつなんだろうか。オマケに新幹線までまた間近を走り始めて、完全に「俺らスピード持ってんぞ」的な威嚇を一身に受けながらトボトボと歩き続ける。なんだろう、怖いところに来てしまったのかもしれない。

そしてようやく路が国道一号線を離れた時。ほっとしてしまったのだろう、ついつい無性に雉を撃ちたい気分になってしまって、茂みに入って過たず撃った。ひとしきり撃ち終わり、安心して茂みから出ようとした、その時!藪の中のトゲが左手にバッサリ刺さって、流血の惨事に。静岡で仕込んだ弾を放ったことがよっぽど気に食わなかったのだろうか。だからってそんなに刺さなくても…。本当に、怖いところに来てしまったのかもしれない。

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すっかり打ちひしがれながら午前12時40分、第三十三の宿場、二川宿に辿りつく。前の宿場からの距離は約5.7km、所要約1時間40分、歩数10001歩。白須賀宿にも増して趣深い建物が多く、写真を撮ろうとしていたらクラクションを思い切り鳴らされてしまった。愛知コワイ…。

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もう、大人しく歩くことに決める。もともと独り言も鼻歌もしないしラジオなども聞かずに静かに歩くタイプなのだけど、もうますます息を殺して気配を消して、写真なんかもあんまり撮らずにいそいそと歩く。そして午後3時30分、豊橋の繁華街に位置する第三十四の宿場、吉田宿に到着。前の宿場からの距離は約6.1km、所要約2時間、歩数12593歩。

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まだ日も高く、次の宿場を目指せそうな気もするが、ペース調整のため今日はこれにて打ち止め。午後3時45分、ジェントリーホテル豊橋に投宿。ジェントリーホテルて。と小さくツッコミを入れつつ、東海道沿いなので良しとする。


感想。七泊八日という長い付き合いだった静岡県とついに別れを告るときが来た。全体的にとても良い印象で、何よりも人々との交流に心が癒された。身体はこの区間で相当に痛んできたけど。けっこう静岡のことが好きになった八日間だった。そして始まった愛知県は少し勝手が違うみたい。でも、落ち込むこともあるけれど、わたしは元気です。


本日の通過宿場:三十、舞坂宿(出発)~三十一、新居宿~三十二、白須賀宿~三十三、二川宿~三十四、吉田宿(到着)
本日の歩行距離:約26km(GPS経路データより)
本日の歩行時間:約6時間45分
本日の歩数:40131歩


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なお!この日記を書いている最中にフランスからメールにて留学合格の知らせがもたらされた!大丈夫だろうと思いながらも「As soon as possible」で連絡すると言われてからの3週間は不安にもなり、すっきりしなかった。これで明日からはますます心も晴れやかに足取りも軽く歩けることだろう!まあ既に、方々に合格連絡などをしていたらド深夜になってしまったのではあるが。

なおフランス留学は、まず4月から渡仏して語学学習。8月末までにフランス語の能力を一定以上に引き上げることができたら9月からのプログラム本体に進むことができる。決して簡単な道のりではないが、東海道の情熱で乗り越えていこう。
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by kan-net | 2013-02-08 02:53 |
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