東海道五十三次 第三日
ぱねえ。ぱねえっす先輩!箱根路まじでぱねえっす!でも俺のほうがまじ本気で超ぱねえっす!!

昨晩立てた本日の行程、それは平塚から箱根までの一日踏破。ガイドブックによると計約35kmの距離で、箱根路の上りが大変には違いないけど行けないことはなかろうと想定して打ち立てた計画だった。

行けたよ、行けた。現に今ここ、箱根にいるもの。ただ、ただねえ…想定外の事象が生じたと言わざるを得ない。

ともあれ気合十分な朝はこれまでで最も早い7時半に宿を出て、「いざ箱根」を合言葉に旅を再開した。昨日の到着後に入念なケアを行ったおかげで身体のダメージは少なく、いたって快調に歩を進める。ものの40分程度で既に次なる宿場へ到着…と思いきやガイドブックに記されたチェックポイントが見当たらない。弱気に歩き続けたら何とかそれ関係の表札を見つけたので慌ててパチリ!午前8時25分、第八の宿場、大磯宿。前の宿場からの距離は約2.9km(+間違えて通り過ぎた約1km含む)、所要約50分、歩数4752歩。

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それにしても宿場のチェックポイントがキチッと見つからないのは気分が良いものではない。そもそも宿場町同士の距離がガイドブックやウェブサイトに載っていて、おそらく過去の資料なんかにある距離程(何里とか)を基に書いているのだと思うけど、それが実際に宿場町のうちの何処と何処を意味するものかがよくわからんのでどうもピンとこない。釈然としないながらも、先を急ぐ。

しばらく歩いていくと前方に小田原の街、そしてその向こうに箱根山が威風堂々と控えている。そして僕は10年前のことに思いをはせる。あれは大学一年生のゴールデンウィークだったろうか、自転車で世田谷から箱根、富士五湖を巡った時に、この道を通ったなぁと。当時は世田谷から箱根まで一日で移動したけど、あの時は歩くことの尊さがわかっちゃいなかったんだ。思えばあの頃は東京へ出てきたばかりで、高校御三家と言えば富山・富山中部・高岡だと思い込んでいたから、学内のアルバイト案内で「家庭教師 御三家出身の方限定 時給10000円」とかを見て、ああ御三家ってこんなところまで名が響いてるんだなぁと思ったものだったよ。

そんな物思いにふけりながら歩いていると順調に小田原の街に突入。早々に江戸口見附が見つかったのだけど、当時の僕は本陣跡を重視して探し続け、そのうちに街を出てしまった。慌てて戻ろうとするも江戸口見附まではかなり距離がある。しょうがないので近場の関係ありそうなところで手を打つ。午前12時30分、第九の宿場、小田原宿。前の宿場からの距離は約15.6km、所要約4時間、歩数25598歩。

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(ちなみにこの碑は明治期に作られた鉄道の駅に関するもので、江戸時代の旧東海道とはおよそ関係がないという説もある。)

さて、いずれにしても残すところはあと一つ。ガイドブックによると小田原から16.5kmの距離に佇むという、箱根宿である。役者はそろった。昼飯も食った。さあいざ行こう。

箱根湯本までの道のりは軽かった。なんだこんなものかと。権太坂がちょっと長くなっただけじゃないかと。そして箱根湯本を超えると坂の勾配が一気に変わった。しかしまあ、そうかそんなもんなのかと。確かにきついが、権太がちょっと長くなってずいぶんドギツクなっただけじゃないかと。

僕が阿呆だったよ。

ガイドブックは必要になった時に読むだけ、というスタイルでいた僕は、そのブック上に何やらおかしな形の道路が写し出された写真を見た。そして道路上に、「旧東海道」と書かれた標識を見た。舗装道路と別れを告げて、石畳に踏み込むべき時が来たのだ。

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疲れがたまり、痛みが全体に広がった足裏を様々な角度から刺激してくる石畳。その時、箱根路は権多ごときの比べものではないと知った。この石畳区間、距離にしておそらく箱根路の3分の1も占めていなかったと思うのだが、ここを歩くと一気に勢いが衰えてしまって大幅に時間を食う。

それでもめげずに箱根宿を目指す僕は、順調に歩を進め、それはそのまま上り坂を上り続けることを意味していた。そして気づいた。僕は冬山の中にいる、と。眼前には先般の大雪が溶けずに残っており、吐く息も白く、これまで汗だくだった衣服に冷たさを感じ始める世界。そして無情にも「いや、そっちの舗装道路じゃないです、はい、こっちです」と案内する標識たち。

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節子アカン!これ体罰や!とかツイートしようかと思いきやe-mobile圏外。docomoは通じたけど、もしこの道中で僕が足をひねって転倒して頭を打って気を失っても、しばらく誰も気づかなくて助けてもらえないぞ、あーそれは寂しいよ!寒いし!とか思いながらひたすら歩いた。

そしてついに終わりに差し掛かる箱根路、見えてきた芦ノ湖。すがりつくように湖岸について目を上げると、もう、これはご褒美ってやつでしょう。夕暮れの逆さ富士。

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既に私の心には勝利の凱歌が流れていた。そしてついに午後5時30分、第十の宿場、箱根宿に到着。前の宿場からの距離は約16.5km、所要約4時間30分、歩数27142歩。

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ついにやった!やったった!世界新を出したボルト的な気分に酔いしれつつ、まんじりとも動かせない体をひきずって宿へ向かう。そう、今夜の宿は例外的に事前予約をしておいたのだ。というのも箱根ではどうしても旅館で部屋食で優雅に過ごしたかったから。おまけに予定よりも早く午後5時45分には夕霧荘に投宿できたので、ゆっくりストレッチとアイシング、さらにひとっ風呂まで浴びたうえで部屋食にありつくという完璧な夜になったのであったよ。


感想。箱根路ぱねえ。まじ箱根路なめてたけどぱねえ。歩き始めるまではセコさんの助言とか思い出そうとして思い出さなかったりしていたんだけど、まさかあそこまで石畳を敷き詰めてくるとは露にも思っていなかったので、完全に虚を突かれたかたち。なるほど、これは難所だわ。完全に納得。

でもこれを乗り越えた僕も相当にぱねえと思う。いやある程度まじで。ようやったよ、ようやったよ僕。うんうん。もはや泣ける。温泉が最高に気持ちいいんだわ。疲れた山の神の身体を癒してくれるの。だから明朝も温泉浸かろうと思う。


はあーー。くたびれた。


本日の通過宿場:七、平塚宿(出発)~八、大磯宿~九、小田原宿~十、箱根宿(到着)
本日の歩行距離:約38km(GPS経路データを元にGoogleEarthで計測)
本日の歩行時間:約9時間45分
本日の歩数:58877歩



おまけ。旅館の部屋食。明日の朝も部屋食だぜ!

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by kan-net | 2013-01-31 00:59 |
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