山中湖合宿 ~夢を架けるアーチ橋~
9月26日から29日まで3泊4日で、山梨県は山中湖村の東京大学山中寮にて、
社会基盤学科で唯一の必修科目「フィールド演習」に参加。
演習内容は、
「7名程度の8グループに分かれ、
 60cm×90cmの工作用段ボール50枚、木工用ボンド、麻糸200mを使って
 横幅200cm高さ60cmの空間を確保(つまりその大きさの船が通過可能)した
 橋を架けよ。評価基準は中央に荷重を架けて空間の確保、
 作成した橋の重量(軽い方が良い)と耐荷重(80kg以上で、80kgに近い方が良い)
 から立てられる評価式の得点、そして独創性。」

「は?」と。
「な…なんで?なんで山中湖で?」と。

そんな疑問を持ってはいけない。
この世の全てが理論だと思ったら大間違いなのだ。
エンジョイすること。それが至上の命題。

じゃんけん一人勝ちのKなこを隊長にまず橋の基本的な形を考える。
各人しばらく考えて提示しあった結果、隊長のアーチ橋が群を抜いて目立った。
「おもしろそう」で決まり。
その夜に方針を発表し、他の班とあまりにも異なる発想のアーチ橋、
ものすごい注目を集めてもう後には退けなくなった。

アーチはアーチで良いのだが、どう架ける?作戦会議は延々と続く。
パリの凱旋門のイメージで話は進んでいき、
それに向けてダンボールから部品を切り取っていたのだが、
3日目の朝、教員Uっちーのアドバイスを受けて方針を変更。
もっとちゃんと、アーチっぽいアーチにすることが決定。

簡単に説明すると、
三角形の大きさが一定値だけ異なる三角柱を大量に作成。
ダンボール平板の内側に小三角柱、外側に大三角柱を貼り付けたパーツを大量生産し、
それらをグオーッとつなぎ合わせていくと半円つまりアーチが完成するというもの。

e0001193_193549.jpgさぁ大変な話になった。
前日すでに切り取ってしまった
ダンボールを有効活用するためには
どのような大きさの部材をいくつ、どこから
(原寸ダンボール?加工ダンボール?)
調達することが望ましいのか。
ここで東大生らしくキモイ計算をしまくり、
結果、右図のような設計に決定。
ものすごい量の部材を生産した。

夜、ついにアーチ完成!!
でも、、あと12パーツ必要なはずなんだけど、、、あれ?
その嫌な予感が的中。
パーツの施工不備があってか、12パーツ少なくアーチが閉じてしまったため
アーチ全体が小さくなり、確保しなくてはならない空間が確保できなかったのである。

そう、我々は大事なことを忘れていた。
この世の全てが理論だと思ったら大間違いなのだ。
いくら計算上完璧な設計をしても、その実現が可能であるとは限らないのだ。

ここからはゴリ押しの世界。
間に板を挟んでみたり三角柱の位置を部分的に修正したり。
もはやアーチの形に拘ってなんかいられない、
とにかく空間を確保しないと完成品にならんのだ。

そして…
日付も替わって1時間ほど経ったころ、ついに空間の確保を達成!
巻き起こる歓喜の声、拍手。
さぁ立たせてみようぜっ!!

おおーーーーーッ!!
写真しゃしん!
おおーこりゃすごい。
ほらみんなでさ、ほら!写真とろうよ!

ばちっ べきべきっ

…あれ?
わああーーーーーッ!!

歓声を聞きつけて他班のメンバーが駆けつける。そして祝福のコメント。
「いやぁ、すごい、よくやったよね。むしろこれ強すぎて壊れないんじゃない?」
しかし初めて自分の足で立ったアーチ橋の姿を見た僕たちは感無量で何とも言えない。
「ま、俺たちの優勝は決まりだな。あとは完成の余韻に浸るから、さぁ、帰って帰って。」

追い返し、せっせと補修。
この目にしっかりと焼き付けた、生まれたての馬のごとく自重に押しつぶされそうな橋。
…いや、きっと明日には成長して立派な姿を見せてくれる!
そう信じて、せっせと補修。

深夜2時ごろに全ての作業を終了。
e0001193_1591752.jpg一通り完成を祝して、
遊び写真を何枚か撮り、杯を交えた。
ついでに名前をつけてやった。
重力に対してみせる柔軟性と、
部材固定に多用された豊富な麻糸から、
「ペンてる豊」
これが彼の名前である。

そして迎えた4日目、試験の日。
前日の反省を活かし、アンカーを使ってアーチを少しでもアーチ型で支える処理を施す。
e0001193_13832.jpg


試験結果。
 耐荷重は10kg(10kgでは耐えたが20kgを載せて破壊)
 橋の重量は20.0kg

全8グループの中で上記二項目から求める評価点は最低だった。
結局のところアーチ型をうまく形成できなかったペンてる豊の強度は
ほとんど麻糸にかかっていたのだった。
載荷重と自重によるテンションで麻糸が切れて、ペンてる豊は倒れた。


しかし僕たちの中でペンてる豊は今もなお生きている。
4日間という短い間だったが、毎日試行錯誤し、毎日ちまちま作業し、毎晩酒を飲み、
理論ではなく、理屈ではなく、山中湖に行って楽しい時を過ごすことができた。
理論ではなく、理屈ではなく、ペンてる豊は最高の、夢を架けるアーチ橋だった。
ありがとう、豊。
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by kan-net | 2005-09-26 13:00 | 学業
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